精力や腎を補う参馬補腎丸

精力をつける、腎を補う処方で比較的最近作られたのが参馬補腎丸(じんまほじんがん)という漢方です。補腎薬といわれる処方は、処方の構成からして胃腸にもたれることもあります。参馬補腎丸は脾胃の弱いタイプにも配慮した処方構成になっていますので、比較的安心して服用して頂ける処方です。

男性専用!!のようなパッケージですが・・・もちろん女性にも使うこともできます

目次

参馬補腎丸の効果

参馬補腎丸の効能効果を見てみましょう。添付文書の効能効果には虚弱体質中心の文言が多いですが、ただの疲れ気味ならば麦味参顆粒のほうが良く効きます。腎虚や冷えを目安に使うといいでしょう。

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次の場合の滋養強壮:虚弱体質、肉体疲労、病中病後、胃腸虚弱、食欲不振、血色不良、冷え症

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食欲不振などがあれば、六君子湯・平胃散と言った処方、消導薬(≒消化薬)の晶三仙を併用するようにしています。

参馬補腎丸の考え方

専門的になりますが、参馬補腎丸の特徴として、

  • 温補腎陽
  • 健脾益気
  • 固摂填精(てんせい)
  • 益智安神和胃

体を温め、漏れ出そうな精を留めてあげて、胃腸の機能をしっかりとすることでエネルギーを増やして、ヘナヘナしがちな気持ちも落ち着ける。バランスのよい処方です。「冷え症に!」と強調しましたが、腎精不足の場合は明らかな寒熱がない場合も有り、それにも使えます。

上記のようなED、不妊症だけでなく、状況に合わせてなんらかの処方と併用ですが、冷えからきた腰痛・成長不良(疲労感がつよい)・蕁麻疹の回復期・下痢や頻尿・尿漏れ(腎の低下)・前立腺肥大・花粉症・風邪を引きやすい・動悸・低体温症・関節痛・睡眠不良といった症状に使うこともあります。

補腎についてはこちらのページもご覧ください

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参馬補腎丸と海馬補腎丸の違い

処方名 同一の生薬 違う生薬
参馬補腎丸 人参・海馬・地黄・ロクジン・山茱萸・茯苓・竜骨・鹿茸・ホコツシ 五味子・肉蓯容・縮砂・杜仲・淫羊藿
海馬補腎丸 人参・海馬・地黄・ロクジン・山茱萸・茯苓・竜骨・鹿茸・ホコツシ 黄耆・枸杞子・桃仁・ロジン・蛤蚧・海狗腎・タイカ・ロクキン・丁子・当帰

参馬補腎丸と海馬補腎丸で同じ生薬と違っている生薬を書きだしてみました。海馬・鹿茸といった補腎の処方は同一ですが、海馬補腎丸はより強い動物生薬が使われ、参馬補腎丸は穏やかな植物性の補腎薬が追加されています。

例えるならば、海馬補腎丸が強火、参馬補腎丸は中火の処方です。どちらも特徴が有り、完全な代用品ではありません。海馬補腎丸についても参考まで

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相性の良い漢方処方

参馬補腎丸のような補腎の処方には、個人的にですが脾胃の働きを改善する処方、補血の処方は相性がいいかなと思います。自身の体調によって違いますので、ご相談ください。

参馬補腎丸(じんまほじんがん)の症例

男性、精力減退

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38歳、男性。もともと神経が細い性格、仕事で極度のストレスあり、彼女が出来たけれども精力減退傾向。途中で中折れしてしまう。抗うつ剤を服用しなくなった時から精力が弱くなった気がする。からだは寒がり、元気が出ない。無理が利かない体質なので、早めに寝るようにしている。力仕事が多いためか腰痛を起こすことがある(問診中略)

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中医学ではEDを「腎陽不足・心脾両虚・肝気鬱結・湿熱下注etc」と場合分けして考えますが、この男性の場合は「冷えて」+「腰が痛い・慢性症状・怖がりやすい・ED」という状態もあったので「腎陽不足」を中心にお話をしていきました。

胃腸も弱いため強い処方は使えないことから「参馬補腎丸+     」という処方でお話ししたのですが、、、!!

2ヶ月目ぐらいから本当に調子がいいと喜ばれて、5年ぐらい継続して服用されていました。それからは「子作りを再開したい」とのことで本格的に不妊専門病院通いをされています。

なんにせよ、精力減退では仕事のやる気も出ないので改善して良かった!!と喜ばれた例です。

女性、不妊症・冷え症

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40歳、女性。3年前より妊活。翌年クリニックを受診。卵管造影など一連の検査をするが問題なし。クロミッドを使い5ヶ月人工授精をしていたが、授からず。近くのドラッグストアでビタミン剤(葉酸)のサプリなどを服用していた。

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生理痛は1日目がやや強く出血がダラダラと続く、周期は25日周期が多く、低温期が低く短い、血圧も低めで冷え症(夏でも手足は冷たい)。時々27~28日周期になることも有る。仕事は看護師なので、夜勤などもあることから、病院に通えない時もある。ご主人様との妊活の方針の違いがあり不安感強い。高度医療(IVF)をしようかと思うけれどもまだそのタイミングではない、と言われて口喧嘩になる(その他問診略)

不妊症の場合で38歳を過ぎると「腎」の低下(生殖能力の低下)が必ず起きます。体質的には冷えもかなり強いようですし、自分で温める力(腎精)も少ないのでしょう。若いときには気力で出来た部分も、からだは正直なものでだんだんと難しくなってきます。こうしたときは漢方は有効です。

不妊クリニックで漢方を処方されていることも増えてきましたが、処方できる漢方の種類が少ないしどうしてもホルモン剤に頼りがちになるため、体を元気に・整えるという部分は漢方薬局がまだまだ補完しています。

この方の場合は「婦宝当帰膠+参馬補腎丸+    」という処方を組み合わせを服用して頂きましたところ、お休みなどを経ながら妊娠となりました。

参馬補腎丸のメモ

商品名 イスクラ参馬補腎丸(参馬補腎丸)
ジャンル 第二類医薬品
内容量  240丸入り/480丸入り
商品単価 240丸入り 6600円(税抜)/
480丸入り 12000円(税抜き)
ポイント 体の疲労回復に
販売元 イスクラ産業株式会社
摂取方法など 1日2回、1回8丸温かいお湯で服用してください。

この商品は店頭のみの販売になります

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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