要約:疎経活血湯は17種類の生薬から構成され、特に「袪風湿・利水」に「瘀血」が絡んだ痛みやしびれに効果的で、慢性的で夜間に悪化する刺すような痛みに適しているとされています。また、漢方での痛みやしびれの概念である「痺証」についても説明され、症状に応じた処方の使い分けが重要であると述べられています。
疎経活血湯の効能効果
疎経活血湯の効能効果をまず見てみましょう。
体力中等度で、痛みがあり、ときにしびれがあるものの次の諸症:関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛(クラシエ・一般用)
関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛(太虎堂)
「痛み」が多くご高齢者さんに使えそうなイメージです。疎経活血湯は「痛みの漢方」として有名で、効果のよい処方です。ベースとして他の処方に併せても、単体で使っても。急性・慢性にも使えます。
ただし、「昨日の雪道から足に神経痛が出ました、疎経活血湯で治りますか?」といわれると、別の処方をお勧めしますし、「子供の運動会に出場して筋肉痛になりました、疎経活血湯で治りますか?」といわれても別の処方をお勧めします。効能効果の関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛という理解だけでは使い分けが難しい処方です。

疎経活血湯の使い方
疎経活血湯は、17種類の処方で、生薬を見てもバランスよく配合されています、その中でも「袪風湿・利水」に「瘀血」が絡んだ時に使います。慢性で、夜に悪化したり刺すような痛みがあったりがポイントです。
生薬名 | |
---|---|
解表 | 和羗活・防風・白芷・生姜・威霊仙 |
利水 | 防已・蒼朮・茯苓 |
清熱 | 竜胆 |
駆瘀血 補血行血 | 当帰・芍薬・川芎・地黄・牛膝・桃仁 |
補気理気 | 陳皮・甘草 |

併用する処方を考える
ぎっくり腰:ある先生は、疎経活血湯+治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)をお勧めされていましたし、私の場合は+芍薬甘草湯でよく効いたり。
疎経活血湯の症例
60代女性、右ひざの痛み。2年前ぐらいから痛みが続く、歩き始めや立ち上がったときに痛みが出る。触ると少し腫れた感じはあるが、熱感はない。講師をしており、立っている機会が多い。寝ているときに動くと激痛があって驚いて起きることがある。(後略)
病院を受診したところ「年齢で誰でもそうなりますよ」と言われ湿布と痛み止めを処方されていますが、あまり効果がないらしく。少し冷たい風が吹き始めた秋口に来局されました。忙しいためか睡眠時間も十分に取れず、、最近は目の下のクマも気になるようです。去年もこの時期から痛んだらしいのですが、今年は特に辛いとのこと。
こういったある場所だけ痛む(固定痛)、瘀血(血行循環障害)の症状があると、まずは疎経活血湯がいいなーと考えます。この方の場合は、疎経活血湯+桂枝加朮附湯をお渡ししました。すぐに良くなったのですが、時々膝が痛くなるらしく、補肝腎の意味で独歩顆粒に変更して服用してもらっています。