パニック発作、こんな時は漢方の出番です。

上司に怒られた、仕事が上手くいかない、嫁姑問題、子供の反抗期、そして子供の受験シーズン。こうした強いストレスがあったとき。

喉の辺りに強い違和感を覚えたことはありませんか?喉の違和感だけでなく、痰が絡む、息が苦しい、動悸がする、げっぷが出る、心臓の辺りが何か押えられているような違和感。ストレスは体に色々な状況を作り出します

一時的なストレスからの症状なら寝たり気分転換をしたりすれば、回復します。子供は怒られて「しゅん・・・」としていてもすぐに立ち直りますよね。ただ、ストレスが継続してしまうと?

毎日の不安感、嫌な気持ち、プレッシャー。こうした継続的なストレスは、体調にだんだんと変化をもたらし、悪循環に陥ります。

それらの続いていたある日、突然の激しい動悸や頻脈、強い恐怖を感じます。パニック発作といわれる症状です。

驚いてしまって心療内科を受診し「そのときにパニック発作という言葉を初めて知ったんですよ・・・」という方もおられます。

パニック障害では、思いがけないときに突然、動悸や息切れ、強い不安を伴うパニック発作が生じます。
そしてパニック発作が繰り返されるうちに、発作に襲われることに対する予期不安や発作が生じる状況に対する広場恐怖(外出恐怖)を感じるようになり、毎日の生活に支障をきたすようになってしまいます。治療が不十分で病気が進行してしまうと、うつ病やうつ状態になるおそれもあります。こころの陽だまり

当薬局の相談でも、ひどい不安感、つまり予期不安、外出恐怖などがある場合は、まず心療内科の受診をお勧めすることもあります。症状を安定させることが大切ですし甲状腺機能障害などの可能性もあるからです。

では、あれっ?漢方の出番は?どこでしょう?

目次

誰にでもあるストレス、症状が発生するしないの差は?

強いストレスで喉の違和感や不安感、更年期のような症状がある。症状が強くないが、何か服用して安心したい、違和感を取りたい、重くならないうちにストレスへの耐性をつけたい。

ストレスからの悩みは多いです。症状が発生する、しないの差は、上手く発散できているかどうか、の違いだと考えています。自分で発散できる人はいいのですが、自分ではどうしようもない、すぐに体調を崩してしまう。漢方ではストレスによって「気の流れが滞る」ことで色々な症状が現れると考えます。

「症状がある程度安定し、会社にも行ける、家事も出来る。ただ、なんとなく不安だけある、喉のつまり?しんどいときはある。じゃぁ次はどう改善していきますか?西洋薬?出来るだけ軽いのがいい、これ以上増やしたくない、今のうちに少しでも良くなれたら・・・」こんな時こそ漢方薬の出番です。

弱さのあるタイプ、言うなれば気になりがち、ストレスを受けやすい、神経が繊細、気持ちで体調を崩すようなタイプには、漢方はよく効くと感じます。

最近では、漢方が見直されてきています。病院で西洋薬の代わりに漢方の半夏厚朴湯が処方されることもあります。相談しているときに「何か服用されていますか?」「半夏厚朴湯を・・・」という方も増えてきました。

半夏厚朴湯はいい処方です。ただ、すべてのヒトに使う処方でも無いですし、対処療法の処方です。「漢方=全て体質改善の処方」というのは勘違いで、葛根湯のような対処療法の処方も多いです。(葛根湯で風邪は治っても、体質は改善しないですよね。

パニック発作(気持ちで体調を崩すような方への漢方

30代、パニック障害の一例

30代女性、事務員、細身。月の前半は忙しくないが、月末が特に忙しい職場。月末になると残業も多い。緊張による仕事のストレスが強く、新人の研修を任されてから、喉の辺りの詰まりを感じるようになった。

あるときから、突然の不安感、家を出るときに恐怖を感じるようになった。病院を受診したところパニック障害の可能性があると診断された。現在は、SSRIの処方を受けて発作は出ていない。

問題なく勤務できているが、無理をすると不安感が強くなることがあったり、喉の閉塞感は続くこと。結婚から妊活に向けて体調を整えておきたいとのことで、祖母の勧めで来局。

学生の頃から責任感が強かったが、繊細で不安になることも多かった。体質的には冷えもあり。生理周期は不安定。眠りも浅く、朝が辛い。今年中に結婚を考えている。

処方について

元々の虚弱がある場合、それを治す処方をまず検討します。まずは帰脾湯、そして柴胡疎肝湯。柴胡疎肝湯は大柴胡湯や柴胡加竜骨牡蛎湯に近い、つまり実証に近い処方で、神経質なひとに向く処方、ストレスなどを流すような処方です。

柴胡疎肝湯+帰脾湯(+α +半夏厚朴湯)

その後、、、

服用し始めて、2ヶ月後。気分が前向きになってきたとのこと。心療内科では処方薬の減量指導を開始しようかと言われています。だんだんとしっかりと眠れるようで、体が楽になってきました。カラダのエネルギーが充実してきたのだと思います。妊活に向けて、帰脾湯(+α)の処方を欠かさず服用してもらっています。この帰脾湯、胃腸の症状を改善する、のもそうなのですが、それ以外も改善できるよい処方です。詳しくはこちらにもかいています。

身体を立て直す処方には、帰脾湯だけでなく天王補心丹・補中益気湯なども、精神的な、ストレスの処方には、柴胡加竜骨牡蛎湯・加味逍遥散など色々な処方があります。ご相談ください。

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この記事を書いた人

福田優基のアバター 福田優基 薬剤師/国際中医師

ゆうき先生:漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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