四逆散という処方があります。ストレスによる心身の症状(自律神経失調症・不眠症)だけでなく、神経性胃炎・逆流性食道炎・過敏性腸症候群にも使う漢方の基本処方です。
四逆散の添付文書には下記のように記載されています。
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体力中等度以上で、胸腹部に重苦しさがあり、ときに不安、不眠などがあるものの次の諸症:胃炎、胃痛、腹痛、神経症(救心製薬四逆散より)
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基本的には、怒りやストレスで心身に影響が出た状況に使います。「胃炎」も「子供の受験でほんと胃が痛いわ~(泣)」という胃炎・胃痛です。食べ過ぎなら平胃散とか晶三仙です。
[st-mybox title=”四逆散の処方構成” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#757575″ bordercolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#ffffff” borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
柴胡・芍薬・枳実・甘草
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処方構成としては、柴胡・芍薬・枳実・甘草の4味のシンプルな構成です。
寒性の生薬の「芍薬と柴胡」の組み合わせが重要で、気滞によって起こる熱感へのクールダウンと「肝」の機能改善(補血・柔肝)が期待されています。
また芍薬と甘草によってストレスや緊張による痙攣(グッと力が入ってしまうものとか)などを取り去る効果もあります。枳実によって溜まってしまった気の流れを強く洗い流します。
気の流れが停滞している「気滞」を改善
「気の流れ」「気の滞り」漢方では「気」という言葉をよく使います。
気は滞ることなく全身を循環しているのが正常です。例えば「道路」のようなモノです。道路が渋滞を起こすと、、、荷物が届かなかったり、乗っている人がイライラしたりしますよね。
人体ではストレス→緊張→不調→ストレスという悪循環でより溜まりやすくもなります。
気滞の症状としてはそれ以外にも憂鬱感、ため息、しゃべりたくない、月経前のイライラ・落ち込み、胸苦しい、肋骨の辺りの脹痛、月経時の乳房の張りなどが起こります。
イライラも熱感を帯びて、すぐに反応する割には、全体的にパワーダウンしてしまいます。
四逆散は「車の流れ」を整えて、流れを調整する処方です。流れを調節するため、ぼーっとしたり、眠くなったりということがありません。その辺りが西洋の向精神薬と違うメリットです。ピアノや論文の発表会で緊張するとき、手足が冷たくなったことありませんか?手足が冷たくなるとき・・・というのも四逆散の一つのポイントです。
類似処方として、柴胡疎肝湯(四逆散+川芎+香附子+青皮)があります。四逆散より気を流す生薬が含まれており、痛みや痞えの強い、首や肩のこわばりが強い場合に使ったりします。
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血府逐瘀湯(桃紅四物湯+四逆散+牛膝+桔梗)も類似処方です。女性の生理痛・PMS・胸や脇の張り・頭痛などにもよく使う処方です。