桂枝茯苓丸はこんな処方です

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は、血行循環不良を改善する処方として有名な処方です。漢方は穏やか・・・というイメージに反して、予想以上に効果のある処方です。一時的な肩こりや頭の痛さに使うこともありますが、慢性的な血行循環障害にお薦めしています。症状としては、骨盤内・下腹部の血行循環不良、生理痛や慢性の月経不順などです。

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男性よりも女性に使うことの多い処方で、意外なところでは、シミに対しても有効です。すべてのシミではないですよ。黒褐色のくすんだ点々としたシミ。肌のアレやかさつき、色の悪さ(皮膚がくすんでる)の「瘀血(血行循環不良)」によるシミです。

桂枝茯苓丸などをお薦めしていると生理痛の改善と一緒に「頬のシミが減ってきたんですが、このお薬が効いているんですか?」と言われることもあります。桂枝茯苓丸は生理の改善だけではなく、全身の血行循環改善をしています。

目次

30代女性の冷え性・生理痛が改善した例

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30代女性(161cm 標準体重)で10年来の「冷え性と生理痛」で来局。大学を出た頃から自覚あり。冬は靴下を二重にしないとつらくなる、冷え性あり、入浴後は体がカッカッとするがすぐに冷える。生理周期は一定で、一日目は動けないぐらいの生理痛。その後、生理出血が少なくダラダラと出てくる。めまいあり。歯茎は「白いね・・・」と言われる。爪は割れやすい。また、唇と舌は紫っぽく、目の下に良くクマができる。食生活、ジャンクフードは食べられない(食べると胃もたれを起こす)。食欲は無い。(中略)

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生理痛も改善したいが冷え性も、というご相談でした。仕事(医療系)はスタッフがギリギリらしくて、生理痛で休みをもらうのもままならない。今は鎮痛剤とビタミン剤だけしか服用していないらしいですが、今後どうしても改善しない場合はホルモン療法も検討しているとのこと。

ただ、年齢的にも赤ちゃんも欲しいし、今後のことを考えて漢方でなんとか、とのご相談です。妊活も急がないと・・・とのこと。漢方としては、血行循環不良と「血虚」の改善から始めました。血虚についてはこちらから↓

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 2週間目:婦宝当帰膠+桂枝茯苓丸など)「手足の冷えが若干ましかも。まだ生理は始まっていません。関係ないかもしれませんが、仕事が連勤で体力的に参っています・・・」

 2ヶ月目:今まで生理出血に塊が混じっていたのが明確に少なくなりました。生理痛も痛みはかなり減ったので嬉しいのですが、全くない・・・という訳ではありません」『たしかに、すぐに全部改善するわけではありませんので、継続してくださいね』

 3ヶ月目:「生理痛をほとんど感じなかった!」と連絡がありました。ただ、この時点で「改善した!」と考えて、服用を中止したら、、、また生理痛が再開します。屋外の排水溝は、掃除をしなくなるとすぐに土砂が溜まりますよね。桂枝茯苓丸で掃除をしても、掃除をしなくなるとまた詰まってしまう。こんな時は、ゴミが出ない体質になるまでしばらく継続をしてもらうのが大切です。

桂枝茯苓丸の処方構成と効能効果

桂枝茯苓丸 組成:桂皮・芍薬・桃仁・茯苓・牡丹皮 効能効果:比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび(ツムラ・桂枝茯苓丸)

桂枝・牡丹皮・桃仁という生薬が組み合わさって「血行循環を改善する働き」をしています。よく似た組み合わせの処方に、温経湯・桃紅四物湯・桃核承気湯・大黄牡丹皮湯などもあります。どの処方を使うのかは、そのときの状況に応じてです。変更することもあります。

効能効果に、眩暈・頭痛などの記載がありますが、これは「血行循環不良」があったうえでの、眩暈や頭痛なので気をつけましょう。単純な生理痛だけなら桂枝茯苓丸だけでスッキリということもありますが、ストレスや自律神経失調、その他自覚症状が複数ある場合は、桂枝茯苓丸だけでなく複数の処方を組み合わせています。

桂枝茯苓丸は実は丸剤のほうが

便利な散剤(粉薬)の処方を使うことが多いのですが、元来、桂枝茯苓「丸」は丸剤です。米粉をつなぎにしてハチミツで丸剤にして服用します。こうした作り方の健婦丸(栃本天海堂)という製品がありますので、もうちょっと・・・という時にはこちらをお薦めしています。

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桂枝茯苓丸は妊娠中や出血が多い時使わない

桂枝茯苓丸は妊娠中は中止します。とお話しすると「妊娠中に服用していたら胎児に影響すんですか?!」と質問されることがありますが、そんなことはありません。生理予定日以降に高温期が続いているときに中止しましょう。この時期はこの時期の別の処方があります。また、生理出血が多すぎる場合(生理過多)は、その時期だけ服用を中止して貰うこともあります。漢方処方は時期や状況によって変化しますので、ご相談下さい。

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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