昨年になりますが、流産を4回繰り返して、という30代の女性がおられました。2回目の流産後、不妊でのご相談で、来店されました。色々と体調を整える処方を服用してもらいまして「3度目(3年目?)の正直」。生理が来ないため妊娠検査薬で検査をしてみると「陽性」。ご夫婦でとても喜んだのですが。その後、1ヶ月検診で、エコーに赤ちゃんがうつっていないと言われ。・・・その後出血。
「最初からいなければ、こんな悲しさなんて無かったのに」 そんな言葉が胸に刺さりました。少し落ち着いてからお話しをしました。
一番気にしていたのは「流産をまた起こしたらどうしよう」「また悲しい思いをしたらどうしよう」「(家族に)負担を掛けたらどうしよう」漠然とした不安で一杯です。
妊娠の統計の中で、先天異常率は44歳までで1.5~2.5%程度とされています。20代でも30代の健康な母胎でもある一定数は流産します。流産は特別なものではありません。
ガーデニングをしていて。すべての苗がすくすくと育つ・・・わけではないですよね。どんなに元気にみえても枯れてしまうこともあります。これは自然の摂理です。誰が悪いワケでもありません。全く問題がない母胎で繰り返すことはマレですけれども、あり得なくはありません。
流産についてまず知りましょう。ということで、流産についてお話しをしました。流産の起こるにはこんな原因があります。
- 受精卵に問題がある場合
- 母胎に異常がある場合
- 夫婦間の免疫学的な問題
受精卵に問題がある場合
受精はしたが育つことができなかった場合。遺伝子的な問題、卵子の基礎力です。もちろん、年齢による卵の老化、ということもあります。どんな薬でも「40年卵」が「20年卵」になる・・・ことはできません。が漢方で「40年卵」であっても妊娠しやすいようにグレードをよくしてあげたい。そう処方を考えています。これが基礎力を上げる、ということに繋がります。
母胎に異常がある場合
子宮の奇形や子宮内膜症・子宮筋腫などです。子宮という岸壁にロッククライミングのように受精卵はしがみつきます。しがみついた場所が悪ければ、、、厳しいことになります。ある程度の内膜症については漢方で改善する事も可能ですが、チョコレート膿腫や卵管・子宮の内側を圧迫している場合など、色々な原因があります。「一度しっかりと見て貰いましょうね!」と産婦人科を紹介するようにしています。
夫婦間の免疫学的な問題
抗リン脂質抗体症候群(APS)は有名です。この病気がある方の半数はSLEや膠原病などの基礎疾患を持つ場合が多いです。[参考:難病情報センター] 不妊症の専門病院では、予防をするためにバイアスピリンなどがよく処方されています。漢方で柴苓湯なども使われていますが、私としては妊娠前から桂枝茯苓丸を+αがいいかなと考えています。出産までの全期服用することが多いです。
「抗リン脂質抗体症候群が有れば、出産できない!」と不安に思われてのご相談がありましたが、それは間違いです。抗リン脂質抗体症候群でも妊娠し出産することは出来ます。流産の可能性は通常よりは高いですよ。ただ、チャレンジしなければ可能性は0です。2回早期流産して、それでもと3回目にチャレンジし、無事授かった方もおられます。
こういった話をしました。ごくごく早期の流産の場合。1~2周期ほど空けてから、再チャレンジをお願いする場合がありますが、生理が来たその周期から漢方を服用していただくコトが多いです。
上記ご相談いただいた方は。ご主人の熱意もあり、再チャレンジ。色々なタイミングもありちょっと難しそうな時期もあったのですが、無事可愛い赤ちゃんを授かることが出来ました。諦めずに、まずチャレンジすること。大切です。