【症例】めまい、ふわふわする感じは漢方で治りますか?

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「めまい」と「ふわふわ」

店頭でお話しいただく半数以上の方は「少し休んだら歩けるから」「フワフワ自覚症状が続くけれども仕事休めないので」など、ちょっと無理をすれば・・・と頑張っている方が多いです。

眩暈の辛さ・・・は他の人にはわかりませんから「雲の上を歩いているみたい」「仕事をしてしても集中できない」「少し動くと揺れている」「頭を傾けただけで酔ってしまう」と思いつつ生活をしていても、だれも気が付いてくれない、気にしてくれない。そんな辛さもあります。女性の方でご相談の多いそうした「めまい」。西洋医学的には、めまいは大きく分けて次のようなタイプがあります。

  • 回転性めまい:自分や周囲がぐるぐる回るように感じる→ 耳の奥(内耳)のトラブルが関係することが多い
  • 浮動性めまい:ふわふわして地に足がつかない感覚→ 脳や循環の問題、自律神経の乱れなどが関わる場合がある
  • 立ちくらみ・失神型:急に視界が暗くなる、意識が遠のく→ 血圧や血流、貧血などが原因となることがある

くわしくはこちらにも記載しました、参考にしてください↓

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漢方を使った、めまい・ふらつきの改善例

【症例】首を横に振ったときに・・・:40代女性

首をふっと横にしたときに、回転性のめまい。1年に1~2回は大きなめまい。ふわふわも感じる。生理の時と季節の変わる時期に水のような下痢。疲れやすく、寝ても眠いことが続く。布団に入ると、すぐに冷える。肩こりあり、生理痛あり。体の左半身のしびれ、太ももにかけて酷い(冷えもあり)。おなかの冷えあり、食事の後、軟便傾向あり。(後略

40代の女性の方で、船に揺られているような「ふわふわしためまい」と、ぐるぐる回るような「回転性のめまい」の両方を感じておられました。冷えが強く、血流の滞り(瘀血)の傾向も見られ、体調の改善が必要な時期でした。ちょうど当時はテレビで「水をたくさん飲みましょう」と報道されていた時期で、その影響もあり水分を多めに摂っていたようです。

処方としては、苓姜朮甘湯と冠元顆粒を中心に用い、生活習慣についても「水は必要に応じて適量を摂る」ようお伝えしました。

服用を始めて1か月ほどで体調も整い、季節の変わり目や調子が悪化した時に服用するというサイクルになっています。特にこの方は季節の変わり目に体調を崩しやすいため、注意していただいています。

漢方薬は「ずっと続けないといけない」と思われがちですが、体質や体力そのものが改善することで、症状に対する抵抗力がついていくこともあります。お手紙をいただきましたのでご紹介いたします。

ふわふわ目眩で

【症例】めまいが辛い女性:50代

季節の変わり目に悪化、眩暈・ふらつき、血圧は昔は高かったが安定している(病院にて処方を受けている)婦人科疾患や生理痛は特になし。もともと体は強い方ではなく、風邪なども引きやすい。線が細いタイプではある。舌:紫暗、 (後略

2年前から季節の変わり目にめまいが悪化し、病院で点滴治療を受けても改善が見られませんでした。今年はめまいやふらつきに加えて動悸も感じるようになり、「なんとか漢方で改善したい」と来局されました。

5年前から血圧が180/120程度と高く、近隣の医院で降圧剤を処方されており、現在は血圧は安定しています。首の硬直や顔色の変化、視野の異常や耳鳴りはなく、常にぼんやりとしためまいが続く一方で、ときに船に揺られているような強いめまいを感じることもあるとのことでした。

この方はお仕事をされているため、めまいが激しくなると「仕事にならない」と大変お困りでした。ご相談を重ねながら処方を調整し、半夏白朮天麻湯+冠元顆粒を中心におすすめしていくうちに、徐々に改善が見られました。

ご本人からは、
「以前のような強いめまいが少なくなりました」
「朝にジョギングをしてから会社に行けるようになりました!」
との嬉しいご報告もいただきました。

【症例】ストレスで悪化しためまい:30代

30代女性、仕事のストレスで体調を崩したときから始まる。浮遊感のめまい、疲れたら酷くなる、頭ののぼせ・熱く感じる、手足が火照る、じんわりと汗をかくことがある

数年前に回転性のめまいを起こされたことがあり、その際は漢方薬を服用して改善されました。ところが最近、仕事の忙しさや強いストレスの影響からか、再びめまいが再発し、ご相談に来られました。

「浮いていて、地に足がつかない感じ。起きているよりも寝ていた方が楽ですが、ベッドで横になっていてもひどくて耐えられません」このように訴えられ、ご主人に付き添われてのご相談でした。

別のページでご紹介していますが、漢方ではストレスがひどくなれば、肝の火が燃え盛って、体の上部が熱くなったり、揺らいだり、滋養できなくなり眩暈が常に起こる状態になります。火事が上に燃え上がってなかなか消えない感じですね。

沢瀉湯・竜胆瀉肝湯を中心にしてお話ししましたら、服用開始から1~2週間ほどで少しずつ改善が見られ、1か月ほどで付き添いなしでも歩けるようになりました。

その後は、原因のストレスを改善するために、竜胆瀉肝湯から別の処方に変えています。短期間の再発はありますが、以前のように強い症状に悩まされることはなく、穏やかに過ごされています。

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この記事を書いた人

福田優基のアバター 福田優基 薬剤師/国際中医師

ゆうき先生:漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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