柿蔕ってなに?
さて、今回は「柿の実」ではなくて「柿のヘタ」の話です。「柿のヘタ」は柿蔕(してい)といいます。生薬としては「刻んだもの」と「生(へたの形で乾燥したモノ)」の2種類があります。当薬局では「生」を扱っています。煎じる場合は、どちらも同じようにお使い頂けます。
この柿蔕は「しゃっくり止め」としての活用が多いです。いつかは止まるはずの「しゃっくり」ですが、病院で多くの薬を処方されている場合や癌の治療中などなかなかとまらないしゃっくりを起こす方がおられます。特に、高齢の方が多くて、しゃっくりで脇のあたりや胸のあたりまで痛くなって、何とかならないか!!! とご相談があります。

柿蔕:薬草としての参考資料
薬草辞典を見てみると下記のように記載されています。
柿蔕:しゃっくり止めに柿蔕1日30gを煎服すれば効く。痔出血には柿渋に明礬を1~2割加え、脱脂綿につけて肛門に当てると効がある。(中略)柿のへたを煎服すれば夜尿症に効き、煎液で洗えばしもやけに効果がある。
柿蔕15g、丁子1.5g、生姜4gを煎服すればしゃっくりに効く。柿蔕5個、黒ごま4gを煎服すれば夜尿症膀胱炎に効果がある。
出典:民間薬の実際知識 東洋経済新報社より
1g~1.5gが柿のへた1つ分ですので、しゃっくりの場合は、1日あたり10~30個ぐらいの柿蔕を煎じて服用する計算です。
煎じ方・用量の目安
- 柿蔕(柿のヘタ):15〜25g(目安として10〜30個程度)
- 水量:500mlから始め、最終的に約300mlになるまで「とろ火」で煎じる
- 煎じた後はすぐに柿蔕を取り出す
- 1日2〜3回に分けて服用
- 必要に応じて丁子・生姜を少量加える
抗がん剤のしゃっくりは、治る場合も、治らない場合もありますので、やってみて下さい、としか言えませんが、一日中、しゃっくりがでるのもとても辛いので。少しでも楽になるように、やってみる価値はあると考えています。
柿蒂湯って?
日本の民間薬だけでなく、中国では柿蔕に丁子と生姜を加えた柿蒂湯(していとう)という処方があります。
柿蔕(してい)の煎じ薬を作るのも手間という方のために、柿蔕湯(チョウジ・シテイ・ショウキョウ)が錠剤になったネオカキックス細粒「コタロー」という製品がありますし、やっぱり手間がかかるけど良く効くモノ・・・として煎じ薬でお渡しすることもあります。

しゃっくりと柿蔕の症例
80歳代男性、病院の検査で癌が発見。肺にも転移し、再入院。抗がん剤治療中にしゃっくりが起こってしまって止まらない。Drも困ってしまい、年配の看護師さんからの紹介で娘さんがご来局(後略)
色々と上記のようなお話をしたのですが、結局煎じ薬で頑張ると。毎日、朝に自宅で煎じて、病院に持って行ってもらって、ちょくちょくと服用させていました。最初は薄かったようで効果が無く。煎じる量を増やしてみるとちょっと楽になりましたとのこと。
抗がん剤治療は継続しているので、煎じ液の服用を止めるとしゃっくりが起こり、再開するとマシになる(完全にとまらずに、起こる回数が少なくなったらしいです)、とのことで、体に悪いモノでもないですし、しばらく服用して下さい、とはお話ししていました。
今回、無事に抗がん剤治療も終わり、退院されるとのことで、ご報告がてらご来局いただきました。今後の予後にと言うことで複数の処方を服用して頂いております。
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