当帰飲子
夜寝ると、皮膚がかゆくなる。
ご高齢になると、そういったお悩みも多くなります。
保湿剤も大切ですが、毎年繰り返すようならば、
体質を改善する漢方薬をおすすめしています。
そんなとき、
「あー、ドラッグストアで買ったことあるよ!」
とお話しされる処方が、「当帰飲子」です。
最近では、ドラッグストアでもよく販売されるようになったので、
みたことのある方も多いと思います。(エキスが薄い印象ですが・・・)
当帰飲子
効能効果: 冷え性のものの次の症状:慢性湿疹(分泌物の少ないもの)、痒み
かゆみ止めのように、塗ってすぐ効く処方ではありませんが、
老人性掻痒症には、よい処方です。
当帰飲子の使い方
漢方では虚と実、正と邪を必ず考えます。
虚と実、とは不足しているか、余っているか。
体の元気や免疫力の強さです。
それらが、不足している場合は、追加して、余っている場合は取り去りるのが基本です。
老人性掻痒症は、だいたいにおいて、不足している場合に起こる症状です。
老人、と名前がつくとおり、ご高齢になって、体を潤す力(血:けつ)が
すくなくなり → 乾燥し、皮膚の神経が敏感になり、
比較的強い「かゆみ」を引き起こします。
当帰飲子は、血を補うことで、潤す力も戻るだろう、という「補う」処方です。
温かい方に偏る処方ですので、
ポイントとして、皮膚の赤い(炎症のある)方には向きません。
「かっさかさ」で、皮膚表面を触るとじんわりと冷たくなるような、
血の気の薄い方に用います。
こういったタイプの方には、当帰飲子だけでも、時間をかければ、効果があります。
しかし、より体質に合わせて検討するならば、
老人性掻痒症では、邪が合わせて存在する場合が多く、その場合は、邪を除いてから、補う、ことで改善しやすくなります。
たとえば、邪を除く、五行草、十薬などを加減して併用したり、
便通が悪ければ、便通を通し、
食生活を改善する、汗をかく(運動をする)、
邪を除く方法にはいろいろとありますが、
その上で、当帰飲子を服用することで、
より効果が高くなります。