勃起不全(ED)と漢方薬

勃起不全(ED)は、男性が性交時に勃起が得られない、もしくは維持できない(中折れ)を指します。原因としては、心理的なものと器質的なものがあります。

  • 心理的(心因性)とは、トラウマやストレスによるもの、原因不明なもの
  • 器質的(器質性)とは、糖尿病、高血圧、心臓疾患や喫煙

があります。 

原因はどちらにあるにしろ、やはりEDは男性にとって辛い症状です。一時的にでも、、、と回復するためには、バイアグラなどの処方薬もありますし、最近ではED外来という診療科まで聞くようになりました。

勃起不全でつかう漢方処方

男性は一般的に50~60代を過ぎると、睾丸の能力が低下して、男性ホルモンの分泌も低下し、性機能も徐々に衰退します。これは自然の流れです。しかし、そういった年齢でもないのに、全体的に疲れやすくなった、忙しくてその気が起きない、持続力がない(仕事も性生活も)という方もおられます。

そういったタイプの方は、バイアグラでペニスの海綿体の筋肉を緩めて、勃起を起こしたとしても、その後に疲れがひどい、射精まで到達しない、といったことも起こりえます。 

こういった症状は、バイアグラなどの西洋薬ではなかなか治りません。それ以外でも、老化を予防して、少しでも長く、元気で人生を送るために、漢方薬で体調を整えることを、お勧めしています。 

bokkisyougai

勃起不全が漢方で改善した例:

夏に来局した30代男性の話です。精力減退で半年ほど前から勃起不全を感じ始めた。彼女とのSEXが出来ない、出来なくなったとのことですね。30代といえばまだまだ精力も普通はある時期なのですが、今日こそ大丈夫、と思うけれども、なかなか立たない、さらに、悪いことに緊張することで中折れしてしまう。

何か原因がありました?とお聞きしたのですが、、、。「仕事が忙しくなってきた頃からかなぁー」と何とも言えない返事。ただ、入社した時期から人前に出るとストレスを感じ、緊張感が未だに取れないとのこと。少人数の職場なので事務職兼営業らしいです。体質的には冷え、腰痛もあり。その他、色々とお話し致しまして、約「参馬補腎丸、加味逍遥散、○○」という処方をご購入いただきました。

処方を服用する事で、2ヶ月目ぐらいで徐々にEDの解消を自覚してきたのですが、まだ、心理的な恐怖感もあることから、彼女とのボディータッチでのカウンセリングをお勧めしました。男性の興奮は心理的な影響も大きいです。勃起は自信に繋がります。数ヶ月して、彼女と頑張ろうという気になったのですが「最初の1回が怖い」とのこと。彼女とのSEXで勃起が出来なかったトラウマがあったのかもしれません。お守り代わりに病院にてバイアグラを処方して貰うことをお勧めして、知っている医院を紹介しました。実際は使わなかったのですが、バイアグラ持っている、ということで自信を持って頑張れたようです。辛かった腰痛や疲れやすさも改善して、彼女と外出する体力や自身も付いてきました。現在も継続していただいています。

漢方では、老化や精力の不足を「腎虚(じんきょ)」と呼びます。生殖能力を司る「腎」の力が不足することで、精力が減退すると考えられてきました。精力とは性力もありますが、どこかに出かけたりやる気であったり。それも精力です。

「腎虚」では、疲労感、頻尿、排尿困難、性欲低下、冷え、しびれといった症状が出ます。それを改善し、腎気が回復させていくうちに、興奮もスムーズになります。心因性の勃起不全にも効果があります。 

高麗人参

高麗人参エキスは漢方でもよく使われています。人参についてはこちらにも記事を記載しました。

高麗人参は、中国東北部や朝鮮半島を原産とするウコギ科の多年草。(中略)EDについても、ウサギの海綿体平滑筋を用いた基礎研究で、高麗人参エキスが用量依存性に海綿体の洞様血管からのNO有利を促進し海綿体が弛緩させることが報告されている。(中略)高麗人参エキスの服用期間では性機能を評価する国際勃起機能スコア(IIEF)の平均値が優位に上昇した。(2008.06 NIKKEI Drug Infomation PE14より引用)

 日経DI誌にも、EDで使うサプリメントとして紹介されていました。人参を使った処方としては高麗人参の製剤や正官庄もあります。ただ、体質によっては動悸を感じてしまう方や、むかつきを覚える方もおられました。服用する場合は、体質を見て症状に併せて検討するようにしてください。※ 熱が亢進しているタイプには、瀉火補腎丸などの熱を抑える漢方薬が効果的な場合があります。 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

目次