漢方実習をしたときに実熱・虚熱の違いについて説明をするのですが、イメージを伝えるのって難しい。西洋医学なら、ウイルス・菌→体内→炎症反応(炎症物質)→発熱!!とわかりやすい流れですが、漢方では体の「熱」をいくつかの種類に分けて考えていきます。
体質で「実熱」と「虚熱」の二種
漢方では体質によって大きく「実熱」と「虚熱」に分けて考えます。
実熱のイメージは、西洋医学の発熱とほぼ同じです。外部からの影響、例えばウイルス(邪気)で発熱します。体の正気(抵抗力)もそれほど落ちてませんから、比較的高熱(37度以上)がでて、汗も出たりします。
ウイルスだけではありません。お酒や辛み・飽食でも体内にエネルギーが溜まって、体の熱っぽさ、精神の興奮、五臓に影響して皮膚炎や赤みなど熱性の症状が起きます。
イラストのように「想定よりも熱が出ている」状態です。
実熱を取り去る処方としては、黄連黄芩を使った黄連解毒湯・三物黄芩湯など。大黄を使った桃核承気湯・大黄牡丹皮湯・清営顆粒など。その他、竜胆瀉肝湯・梔子柏皮湯などもあります。
一方、虚弱体質の人や、急性もしくは慢性疾患で衰弱傾向の人は、栄養分、水分(体液)の消耗から体全体のバランスを崩し、のぼせ・ほてり・口の渇き・微熱といった症状が現れやすい。これは体を冷やす作用のある水分が不足して、熱エネルギーを抑制することができず、体温が上昇したことによるもので虚熱という。(虚熱は)更年期や自律神経失調症、放射線治療などの際によく見られる。
実熱では舌の色が濃い赤で、舌苔は黄色くなる。虚熱でも舌の色は赤くなるが、水分が消耗するため舌苔はごく薄かったり、まったくなくなり、時には鏡のようにツルツルになる。ひどい場合には、舌の溝のようなヒビ割れが出てくることもある。(←陰虚と言われます)虚熱の治療には、抗生物質や漢方薬の解熱剤は無効だ。このような場合は、不足した水分(体液)を補い、微熱を除去する作用のある瀉火補腎丸がよく使用される。
参考:路京華先生 讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』