男性不妊症:免疫性不妊を考える大阪での勉強会

大阪で陳志清先生による男性不妊症の勉強会が行われました。不妊症=女性というイメージがありますが、畑に種がなければ芽が出ないのと一緒で、男性が原因の不妊症というものもありえます。

男性特有の疾患と言えば、「ED、性欲異常、射精障害」などの性機能障害はよくありますし、「無精子症、精子減少症」などの精子に関する障害もあります。また、更年期やら疲労、ストレスも直接関わらないですが影響する不妊症の原因とも言えます。

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免疫性不妊[抗精子抗体]

免疫性不妊とは、免疫性の要因が関わっている不妊症のこと。その中でも男性に多いのが抗精子抗体(AsAb)による不妊です。※抗精子抗体は男性側にも女性側にも起こります

例えば「犯罪者(例:ウイルスや菌など)」が海外から入ってきた。この犯罪者を「抗原」と呼びます。警察官はこの犯人を捕まえなくてはなりません。今回は二度目。警官は手配書などで顔を覚えています。この「顔を覚えている警察官」が抗体です。警官はすぐに出動して犯罪者を体外に排出や無効化できます。

この抗原と抗体という免疫の仕組みで体は守れていますが、時々誤解が起こることがあります。抗精子抗体は「精子を間違って犯罪者と認識した場合」に起こります。また、抗精子抗体も経管粘液に存在したり、精液や補体、血清に存在したりと様々です。

どこで起るか判らないけれども、すべてが不妊の原因になるとも限りません

AsAbと西洋医学の治療

西洋の治療方法には免疫を押さえるステロイドが基本になります。その上で、なかなか妊娠しにくい場合ならば卵を受精させて様子を見てみようということでICSI、AIHなどを選択します。

ステロイド、タイミング指導(数ヶ月コンドームをつけて抗体が産まれなくなるまで待つなども)、ICSI(顕微授精)、AIH(人工授精)など

AsAbと東洋医学の治療

主に肝腎、及び肺脾。正虚邪恋、扶正祛邪。

杞菊地黄丸や鹿茸大補丸など補腎薬に柴胡剤も加えつつ、一般的には柴苓湯などもあります。ただ、漢方の原則として、その人それぞれの体のゆがみを直すことが大切です。僕自身の考えとしてはヒューナーテストをしたりなど西洋医学と漢方を併用する、生活習慣を改善するなどは重要と思っています。

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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