[st-kaiwa5]先生、体を温めるお薬の使い分けが判らないんですけど・・・[/st-kaiwa5]
という質問がありました。ご高齢・不妊症・冷え症・頻尿・精力不足・疲れやすい・足腰だるい、色々な症状の方へ「体を温めるお薬ですよー」と補腎の処方をお勧めすることがあります。この補腎陽の処方には、海馬補腎丸・参馬補腎丸・八味地黄丸、なんだか同じような名前が多くてわかりにくいですよね。
腎陽虚と補腎剤
今回お話しするのは体を温める補腎剤。「体を温める」と「補腎(腎精を補う)」の二つの属性があります。
補腎(腎精を補う)は漢方の五行(肝・心・脾・肺・腎)の腎の精を補う処方。
ここで話している腎は特に老化やホルモンバランス、生命エネルギーに関係しています。劣化していてだんだん出力不足になったのが「陽虚」といわれる状態。これが起こると「冷え」が起こります。
例えるならば、アルコールランプの炎の部分が小さくなってしまって温まらない状態です。
ご高齢の方が、春に暖かくなっても厚手の長袖が手放せない、そんなことありますよね。生命エネルギーが小さくなると、腎陽虚・腎陰虚どちらかに偏ることも多くなります。詳しくはこちらもご覧下さいね↓↓↓
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補腎陽の処方の比較
で、本題の補腎の処方の比較です。陽虚を改善する、温める処方をピックアップしました。
比較ですが、動物性・植物性補陽薬、補気健脾・補血・活血・理気・固渋で生薬数を比較しました。生薬数が多くなれば必ず強い!ということはない(含有量もありますし)のですが、傾向は分かると思います。
ちなみに、強い:動物性>植物性と考えてもらってかまいません。
海馬補腎丸 | 参馬補腎丸 | 参茸補血丸 | 双料参茸丸 | 霊鹿参 | 八味地黄丸 | |
動物性補陽薬 | 8 | 3 | 1 | 3 | 1 | 0 |
植物性補陽薬 | 1 | 4 | 2 | 1 | 0 | 2 |
補気健脾薬 | 3 | 2 | 2 | 7 | 1 | 2 |
補血薬 | 3 | 1 | 3 | 3 | 0 | 0 |
活血薬 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
理気薬 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
固渋薬 | 2 | 3 | 0 | 0 | 0 | 2 |
複数同等の性質のある生薬の場合、重複カウントしている場合もあります、あくまで傾向としてとらえてください。
こうしてみると、海馬補腎丸は補陽の力が強く、参茸補血丸は温めるけれども補気補血の力もあり、、、と予想以上に分かりやすいですね。霊鹿参は構成生薬が少ないですが、その分シャープに効いたりします。
もちろん、これ以外に何か併用してお勧めすることも多いので、ご相談ください。