中折れ(勃起不全)に効果のある漢方

時々ご相談いただきます、勃起不全の話です。30~40代の方からは不妊症(男性不妊)、40代を過ぎて男性の性機能障害(or精力低下)としてご相談いただくこともあります。

目次

症例:SEXしても途中でダメになってしまう

40代後半の男性 主訴:SEXしても途中でダメになってしまう中折れ状態。西洋薬のシアリスを使うと射精まで大丈夫だった。ただし、副作用が強く、疲労感、口の渇き、震え、眠気(とてつもない眠気)が起きてしまい翌日は仕事にならない。漢方でなんとかならないだろうか、とのこと。色々試した西洋薬では下記の通り。 ※ 記載の副作用・効果は本人の自覚症状としてです

  • バイアグラ→よく解らない(中折れする)
  • シアリス→大丈夫。中折れはしないが副作用強い。
  • レビトラ→よく解らない(中折れする)

問診:仕事が忙しくすぐに頭が痛くなる、眩暈あり、血圧は定期検診で140~150程度あったので病院から降圧剤の処方を受けている、ストレスが強い、動悸などは無いが、目の疲れ・首の凝りあり。性欲自体も低下している気がするし、年齢も有ると思うが気持ちは興奮はしているのに立ちにくい気がする(その他省略

漢方でお話ししたこと

年齢が40歳を過ぎると徐々に元気が無くなる、、、、これは当たり前のことですが、漢方では「腎虚」という言葉で表します。これを少しでも若々しく保つために色々な処方が開発されました。

ただ「腎虚だから」と海馬・スッポン・イカリソウ・鹿茸など補陽の処方を使いすぎるのも良くありません。これって冷えや元気の無いタイプにエンジンの回転数を一段階あげる処方です。上記のような交感神経が興奮したタイプの男性にはあまりお勧めできません。もともとが、オーバーヒートしかけてる状態なのに、さらに頑張らせても・・・。

全体的に見ると実証、交感神経が興奮してしまって落ち着かないタイプ、連続で運転して発熱している状態ですね。漢方ではこうした状態を落ち着かせる処方があります。

シアリスを使う場合は半量ぐらいから様子を見て貰うこと、しばらくは興奮を抑える瀉火補腎丸・亀鹿仙・竜骨牡蛎などを継続して貰うこと、降圧剤は処方された内科医と相談して種類を変更してもらうように提案しました。

では、なぜ降圧剤はEDを引き起こすのか。これは、勃起のメカニズムを考えるとわかりやすい。勃起は以下の流れで起きる。(中略)プロセスのどこかに問題が起きると、EDになってしまう。うまく興奮することができなかったり、cGMPが分泌されなかったりしてEDとなるのだ。降圧剤は「拡張した血管に血が流れ込み、海綿体が拡張する」のプロセスで問題が起きているという。降圧剤を飲み続けると、EDになる可能性

ED治療薬の違い

ED治療薬を服用している方、半数ぐらいは使い方に間違いが見られるらしい、との記事を読んでからは、使い方を確認するようにしています。ED治療薬の違いについて記載してみました。日本では許可されているものは3種類ありまして、バイアグラ・レビトラが兄弟みたいな関係、シアリスは少し違います。

バイアグラ レビトラ シアリス
服用から効果まで 30~60min
性交前に服用
10~30min
性交前に服用
60min~
性交3時間前に服用
効果継続時間 4~6hr 5~10hr 15~36hr
長時間効果あり
食事の影響 影響する
空腹時服用
影響しない 影響しない
アルコール 影響する
飲むと効果増強
影響しない 影響しない
容量 25mg/50mg 5mg/10mg/20mg 5mg/10mg/20mg
製造会社 ファイザー バイエル イーライリリー
ジェネリック あり なし なし
参考価格 50mg 1500円ほど 10mg 1500円ほど 10mg 2000円ほど

上記ED治療薬は病院にて処方される要処方箋医薬品(保険適用外)です。自由診療になりますので、価格はあくまで目安(某医院)です。診療・調剤料を加えた価格でもあり医療機関ごとに変わります。

漢方の使い分け

服用していると怒りやすさや火照り感が緩和してきたようで、性欲と違うけれども、、、と笑いながら喜ばれていました。西洋薬を服用しても副作用は少なくて済んでいるらしく、私としては漢方も服用してるのが良いのかなとは思っております。下記のように色々な処方があります。一例として場合分けしていますが、それ以外にもありますのでご相談ください。

心火・肝火 動悸・高血圧傾向・便秘傾向・眠られない
性欲異常(興奮または減退)
柴胡加竜骨牡蛎湯
桂枝加竜骨牡蛎湯
加味逍遥散
柴胡疎肝湯
抑肝散
気虚 倦怠感・食欲不振・軟便・疲れやすい
寝汗・気力不足
補中益気湯
麦味参顆粒
十全大補湯
人参養栄湯
腎陽虚 冷え・元気が無い・頻尿・下半身の浮腫
腰痛・小便が少ないもしくは頻尿
海馬補腎丸
至宝三鞭丸
八味地黄丸
腎陰虚 のぼせ・手足の火照り・微熱・興奮状態
やや高血圧傾向
杞菊地黄丸
牛車腎気丸
六味地黄丸
参馬補腎丸
亀鹿仙
瘀血 肩こり・頭痛・のぼせ・血行循環不良 桂枝茯苓丸
冠元顆粒
折衝飲
桃核承気湯

※あくまで一例としての処方の分類です。

ところで、桂枝加竜骨牡蛎湯を調べてみたら「老年男性の介護者に対する性的逸脱行為が桂枝加竜骨牡蛎湯で沈静化した」との記載がありました。介護をしている方はコレに苦労されるらしく・・・。

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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