【相談内容】 40代女性、腰のあたりが疼くので病院に行ったところ胆石と言われた。胆のうの摘出手術を勧められたが今はまだ手術をしたくない。大柴胡湯で痛みは緩和されたがまたしばらくすると痛みが出てきた。しばらく飲み続けられる漢方処方はないか。
胆石の漢方
なかなか「胆石の手術」に踏ん切りがつかない、というご相談は多いです。頻発するようなら私も手術をお勧めしているのですが胆嚢結石で「年に1回、体調の悪いときにしか起こらない」「食生活が悪いときにしか起こらない」ぐらいなら・・・あえて手術をしなくても、とも思います。
上記の方の場合は、まれに起こるぐらいでしたので、胆石の漢方処方、潤勝散1日3回と石流茶1日1回でお勧めしました。その後、数ヶ月して『最近、腹痛を覚えることもなく過ごしております、ありがとうございました。先生の仰るように今しばらく続けてみたいと思います』とのお手紙を頂きました。
- 潤勝散(桂皮・黄芩・柴胡・桑白皮・良姜・生姜・茯苓・人参・大棗・甘草・木香・半夏・紫蘇子)+石流茶(連銭草・裏白樫)
胆石・胆嚢炎の疼痛・胃腸痛・消化不良・食欲増進・肝臓病
胆石の漢方的な考え方
漢方では胆石などの症状を肝胆病(かんたんびょう)と呼びます。胆石=肝臓・胆のうの病気といわれると、「まぁ確かにそうだなぁ」と感じます。ただ、漢方での肝の働きはもっと大きな機能をさしまして、ストレスでの情緒不安、運動機能低下や老眼・かすみ目なども「肝の病気」になります。
そんな色々な機能を持つ「肝」が何らかの原因で「オーバーワーク」しているのが「肝胆湿熱」です。体調の乱れですね。例えば「食事の不摂生で持病の胆石が疼いてきた」は身に覚えのある方も多いハズです。胆石の方で食生活の乱れ?!と言われると・・・、ほぼ自覚しているはずです(^-^;;;
『何か原因はありましたか?』という質問には、大概は「引っ越しをして、急に車生活になっちゃって」とか「営業で付き合うことが急に増えて」というお答えが帰ってきます。
西洋医学では「胆石がある」という一つの結果をみて「胆石を作る部分が無ければ再発しないだろう」→「切除」という考え方もありますが。漢方的には、切らずになんとか出来る部分はなんとかしたいですし。「生活習慣の乱れ」を治すことで、現在の体調、例えば「肋骨の疼痛・食欲不振・悪心・口の苦み・大便の不調」を見て総合的な状況を改善することができます。
中国で使われる胆石の処方をパラパラと調べていたらこんな処方が見つかりました。
- 金胆片(金銭草・虎杖根・猪胆膏・竜胆)
利胆消炎、胆嚢炎、胆石症 - 利胆排石片(金銭草、茵蔯、黄芩、木香、鬱金、大黄、枳実、芒硝、厚朴)
利胆排石、胆石症
中国の上流階級では胆石が多かったのでしょう。「美味しいものを食べながらこんな処方を服用」していたのかもしれません(^-^;;;
日本にもよい処方があります。先ほどの潤勝散+石流茶ですが胆石だけでなく、食べ過ぎのモタレにも使えるよう生薬をプラスしています。頓服にせず1日3回きっちりと数ヶ月は継続します。頑張ってください!