病院での治療が必要ないわゆる「病的な浮腫」ではないけれども、ちょっと気になる「からだの浮腫(むくみ)」の話です。
急に起った浮腫は病院で検査を
病院を受診した方がいい浮腫のチェック方法から。
足の脛骨を押してみて、もし痕が残るようなら病院で検査をした方がいい浮腫の可能性があります。店頭でよく見かけるのは病院の処方薬での副作用。病院でステロイドなどを処方されているようなら、次回受診したときに「浮腫んでいます」とDrに伝えるようにしましょう。
すごく「急激に」腫れた、こんな浮腫もまた病院を受診してください。
私の先輩ですが、左足膝から下だけがパンパンに腫れたことがありました。象の足のように腫れて微熱を持っています。急いで病院を受診したところ、一件目では判らず、二件目、三軒目で始めて蜂窩織炎(ほうかしきえん)、何らかの細菌が傷に入り込んで起った症状とわかりました。海辺で遊んだときに足の指から雑菌が入ったのでしょう、しばらく抗生剤の治療です。
このような「急に起った、熱感がある浮腫」の場合。まず病院での検査をお薦めしています。
ただ、浮腫はこんな「重篤な症状ばかりではありません」。
「そういえば気になっていて」いたけれども、それほど酷くないので放置していた。そんな浮腫、これは漢方薬の分野です。夕方になると靴下のゴムのあたりにラインがついたこと、ありませんか?仕事帰りは足が浮腫んで靴がパンパンになったり。
「浮腫(むくみ)」は皮膚下の水の停滞。体が元気な方は、全身のエネルギーによって調整されているのですが、何らかの原因でうまく水が捌けないと浮腫を生じます。漢方では、人体の構成成分である津液が停滞し、三焦などに溜まった状態、これを水滞(湿/水毒)と呼びます。こうした水を捌く処方として平胃散、五苓散、色々な処方があります。
急性の浮腫に対応できる漢方?!
急性の浮腫に対応できる漢方処方があります。アレルギー性の浮腫、熱性の浮腫に使ってみてとても効果のよい処方、越婢加朮湯です。越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)の添付文書には、「効能効果:浮腫と汗が出て小便不利のあるものの次の諸症。腎炎、ネフローゼ、脚気、関節リウマチ、夜尿症、湿疹(ツムラ)」と書かれています。怖い症状ばかり書かれていますが、難しい病気から軽い病気までつかえる、よい処方です。
漢方的には越婢加朮湯は「表有風水・肺熱壅盛(風水挟熱)」に使う漢方処方といわれています。越婢加朮湯の組成:麻黄・石膏・生姜・大棗・甘草・白朮 のうちの「麻黄・石膏の組み合わせ」が良く、同じような組み合わせには白虎湯、麻杏甘石湯など色々な処方に使われています。
浮腫の症例、足首の腫れ
70歳女性、畑仕事をしている元気な奥様の話です。季節の変わり目に必ずといっていいほど足首が腫れて痛みが出ます。ちょうど関節のあたりに水を持ったような腫れ方をしてやや微熱を持ちます。昔は病院で検査をしましたが原因はわかりません。ただ、いつも季節の変わり目には「また痛いんだけど~」とご相談いただきます。越婢加朮湯+三爽茶の処方で服用してもらうと、毎年の事ながら徐々に引いてきます。
越婢加朮湯は「上半身の浮腫に使う」と書かれている書物もありますが、全身の腫れにも使えるとてもよい処方だと思います。花粉症の目の痒みに使う場合もあります。もちろん、浮腫を解消するには他にも色々な漢方処方があります。病院の利尿薬だけではちょっと心配、そんな方に漢方薬は優しく効果を現します、ご相談ください。
*「全身の浮腫と書かれていますが、局所の浮腫でもつかえるのですか?」という質問がありました。もちろん使えます(^-^;;;;