過敏性腸症候群を漢方で改善

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)は、ストレスや生活上の不摂生などを引き金に起こる症状です。便が固かったり、緩かったり。塊が出たあとで、緩いのがでたり。また、便だけの悩みではなく、お腹が張ったり、痛かったりという症状も含めます。排便するとスッキリするのも特徴です。

気持ちの優しい方やまじめな方に多く見られます。過敏性腸症候群は死亡するという病気ではありませんが、トイレを始終探すことになり本人はかなり辛い状況になります。また、統計的に女性が多いと言われる疾患です。Pharma Medicaのアンケートでは、20代の女性に突出して多く申告されています。(下図は日経ヘルスより。最下部に参照表記)  

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過敏性腸症候群は、便秘、下痢、混合型に分けられる 

過敏性腸症候群をチェックするには、NIH基準やローマ診断基準があります。が、個人でチェックするならば下記の日経ヘルスのチェックがわかりやすかったので引用します。

 過敏性腸症候群Check 日経ヘルス参照

  1. 腹痛やお腹の不快感が何ヶ月も続いている
  2. 腹痛や不快感が日常生活に支障を来すほど辛い
  3. 腹痛や不快感は排便すると良くなる
  4. 固いコロコロの便や柔らかく水っぽい便が出る
  5. 排便は一日に四回以上、または週に二回以下
  6. ストレスを感じている
  7. 最近よく眠られない。
  8. 食事を取る時刻や回数がまちまちだ。

1に当てはまり2?5に当てはまると過敏性腸症候群の可能性が高い。特に2の場合は専門医を受診してください。

 便秘の場合は、コロコロとした便秘が多く、よく兎の糞といわれる便がでます。下痢の場合は、ビチャビチャというもの。交互にくる場合もあります。

過敏性腸症候群の患者さんの体験談:

40代やせ形の男性。来局時からかなり深刻そうだったので、印象に残った方です。「どうしたのですか?」とお聞きすると、急に仕事のリーダーになり、取引先・先輩からの圧力。後輩を引っ張らなければという気持ち。その挟間で、腸の調子が悪く、緊張するとすぐに下痢をしてしまう。今は会社に行く電車の中でも腹痛が起きるため、トイレのある駅で降りながらなんとか向かっている・・・とのことで悩んでいました。

病院では過敏性腸症候群と診断され、コロネル(ポリカルボフィルカルシウム:水を吸って形を整える食物繊維のようなお薬)やセレキノン(マレイン酸トリメブチン)が処方されていました。仕事を数日休むとその午前中は楽になります。ただ、もう少しなんとかしたいとのことで。向精神薬も試そうとは思ったらしいのですが、仕事の忙しいときに頭が働かないと困るので、試せない。 

さらにお話を聞くと、この一週間ぐらいは緊張感と動悸が続いているとのこと。また、ストレスを発散しようにも、なかなか時間が取れないこと。食事は不規則で、味の濃いものが大好きなこと。

ここまでくると、生活習慣を改善することも大切になります。漢方で考えると緊張感(気滞)が極まって、胃腸にも影響を及ぼしている状態。これを改善するため開気丸や複数の処方をお勧めして、数週間。すこしずつ緊張感も取れ、腹痛の時間も少なくなってきました。ただ、すぐに治る、改善するというものではありません、気をつけていまでも服用していただいています。

注)出血している場合は、痔疾患、胃潰瘍や大腸の疾患の可能性もありますので、必ず専門医に受診してください。
参照:日経ヘルス2008/04 P126-127 日経ドラッグインフォメーション 2006/09 No107P9

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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