オリモノが臭くありませんか?
おりものには個人・周期(低温期・高温期)によって差があるのがあたりまえですが、色が異様、悪臭があった場合には注意が必要です。
例えば
- 黄色や緑色に細かい泡が混じっている、生臭いにおいがする
- 外陰部が痒くなる、排尿時に尿道が痛むことがある
- 黄色や緑色、膿が混じっている、生臭いにおいがする、体調を崩している
これらの症状は、セックスなどで感染するトリコモナス膣炎や淋病、クラミジア感染症などの代表的な症状。
炎症が進めば、卵管の閉塞など不妊症に繋がる原因になります。おりものの増える原因には、子宮の膣部分が赤くただれる膣びらん(子宮腟部びらん)という症状。
注意したいオリモノの例
表にしてみました。オリモノは時期によって様子が変わりますが、透明から白っぽい・黄色く粘るぐらいが正常です。
状態 | 病気 | 原因 | ||
---|---|---|---|---|
量 | 色 | その他 | ||
普
通 か ら 多 め |
透明 | 水っぽいか少し粘りけ | 正常 | 透明から白っぽい帯下は正常 |
白 | チーズ状でかゆみあり | 膣カンジダ症? | 免疫力の低下 | |
黄色 | 乾くと黄色くなる | 正常 | おりものは時間とともに変化するので正常 | |
黄色 | 泡状で痒みを伴う | 膣トリコモナス症? | 性交によるトリコモナス原虫の感染 | |
褐色 | 月経前後2~3日や排卵前後 | 正常 | 月経前後は経血の混入。排卵日の不正出血もまれにある | |
褐色 | 半月以上続く | ポリープ? | 病巣からの出血が混じっている可能性 | |
少なめで下着との摩擦や性交時にいたい | ホルモン低下 | 女性ホルモンの分泌の低下 |
表:日経ヘルス 2002年11月号P43引用改変
西洋薬の治療方法は?
膣カンジダ、トリコモナス、クラミジアなどには抗菌薬などの膣錠を入れることになります。すぐに症状は治まりますが、抗菌薬は途中で服用を中止しないこと。痒みには、軽度の痒み止めが処方されることもあります。
市販薬の陰部に使えるかゆみ止めにはフェミニーナ軟膏などもあります。膣カンジダの再発には、「メンソレータムフレディCC膣錠」「カンジダキュアMF膣錠」がドラッグストアや薬局で販売されています。膣カンジダは性感染症と思われがちですが、実際は過度のストレスや疲労による免疫力低下、膣の善玉菌の減少などによるものが大多数です。
また、これら菌にはパートナーも感染している場合が多いため、一緒に治療することが肝心です。出血が続く場合、ポリープや子宮頸ガンを疑う場合は、慎重に経過を見る必要がありますので、かならず受診するようにしましょう。
漢方での改善方法は?
漢方の場合、体質的にまずは「虚・実」の二つに分けて考えます。ホルモンが減少した、オリモノが減った、体力(免疫力)が低下している、といった不足しがちな状況を「虚」と考えて対策してみてください。
オリモノの減少
「おりもの」は膣を酸性に偏らせて雑菌から膣を防御しています。量が減ってくると感染症を起こしやすくなります。漢方では年齢と共に体の潤いが減っていく、、、「肝腎陰虚・血虚」と言われます。
若いのにオリモノが少ない場合は、特に血虚(血の不足)によることが多いです。婦宝当帰膠+芎帰調血飲第一加減などがお勧め。
おりものが少なくなる30代後半からは「肝腎陰虚」の割合が増え、子宮内膜が厚くならないこと増えて不妊症の原因ともなります。
こうした状況には、より肝腎陰虚を補う処方を中心に、、、例えば、効果の強い参茸補血丸・亀鹿仙など、疎肝理気薬、活血薬や補腎薬を加えて服用する場合もあります。
生理もそろそろ終わりかな・・・おりものが年齢と共にさらに少なくなると、老人性の炎症や萎縮を起こします。ご高齢で冷えて元気が無い・けれども膣の部分が痒いといった症状には竜胆瀉肝湯などで湿熱を取りつつ五積散+αを加えてお勧めします。
繰り返す陰部の炎症
漢方で「実」のタイプも考えてみましょう。「陰部に痒みがでる、臭いがでる」ので病院に行って抗生剤を処方されたが、、、すっきりしない・再発するといった相談もいただきます。
漢方では、こうしたオリモノが起こる状態を「湿熱下注」と呼び、体質的に陰部がジトーーーッと熱を帯びている、蒸れていると訴えることが多いです。この場合は、竜胆瀉肝湯を中心にして芎帰調血飲第一加減を併用することでその後の予防にもなります。
特に「抗菌薬を服用すると一時的に治り、すぐに再発する」そんな方は芎帰調血飲第一加減+αで補う処方を服用しましょう。
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漢方処方と共に、ドラッグストアで販売されているフェミニーナ軟膏のようなデリケート部分の炎症を抑える軟膏も併用してかまいません。清潔に、通気性の良い下着にして治療しましょう。
膣内はゴシゴシ洗わない
膣内はデーテルライン桿菌(乳酸菌の仲間)によって酸性に保たれています。常に乳酸を作り出し、その働きで膣内は酸性に保たれ、雑菌から守られています。薬用石鹸で膣内をゴシゴシ、シャワーを使って膣内洗浄は避けましょう。
体調が悪いとき・抗生物質の長期服用でもデーテルライン桿菌は減少し感染を起こしやすくなりますので注意です。膣内ビデは使いすぎないように。
バルトリン腺[大前庭腺]?
女性がSEXしたときに出る粘液は、バルトリン腺液といわれます。女性が性的興奮を覚えたときに出る粘液で、通常はほとんど分泌されない粘液です。
これは、性交渉を促進するための液(潤滑液)ですが、「分泌が少なくて性交痛がある=おりものが少ない」と勘違いされている方もおられます。この2つは、まったく違いますので気をつけましょう。