熊胆(ユウタン)

採れなくなったり希少になったりして使われなくなった生薬は色々とありますが、そのひとつ熊胆(ユウタン)です。漢方では臓器の不調は同じ臓器で治すという考え方があり、利胆薬(消化器の処方)として使われていました。

ウルソデオキシコール酸の起源は、千数百年の歴史を持つ「熊胆」にあります。古代、ギリシャからインドにかけての地域周辺では、動物の胆のうからできた薬が使用されていました。なかでも、ツキノワグマやヒグマの胆のうを乾燥させて作った動物性生薬「熊の胆」は、消化器系全般の万能薬として、シルクロードを渡って中国へ運ばれ、「熊胆(ゆうたん)」と呼ばれるようになりました。佐藤製薬:ウルソデオキシコール酸って何?

病院で肝臓の機能回復に処方される「ウルソ」はこの熊胆の主成分のウルソデオキシコール酸を合成したものです。

今では一般のドラッグストアなどで販売されている胃腸薬にもウルソが含まれています。例えばワクナガ胃腸薬L、佐藤製薬ハイウルソ錠などですね。

ウルソと熊胆、熊胆丸が同じ効果か、と言われるとそれ以外の成分も含まれていますので、なんとも言えません。肝臓を保護する処方として「熊胆を使わない処方」もあります。より効果を上げるために「ウルソ+漢方処方」と併用することもお勧めしています。

熊胆

熊胆は手に持つとずっしりと重さを感じます。

熊胆は昔は金と同じぐらいの価値があると言われていました。江戸時代までには日本には多くの熊が生息していたようですから猟師さんのいい小遣い稼ぎになっていたと思います。

熊胆は、割るとパリパリになりますので、それを削り、少しずつ服用します。センブリほどではありませんが、かなりの苦みなのでオブラートに包んでもいいです。溶かして服用、もいいのですが、余計苦いような・・・。

熊の胆嚢が入手しにくくなり、漢方処方でも熊胆ではなく牛胆や動物胆(獣胆)の使用も多いと聞きます。鯉の肝で鯉胆(りたん)というものもあります。これはこれで良く効くようです。苦いです。

熊胆(クマノイ)は「お取り寄せ」になります。そのままの形では販売しておりません。ご了承ください。

昭和化学より保寿熊胆丸25という熊胆単味を丸剤にした製品が販売されているようです。1丸あたり熊胆25mg、60粒で9500円(税抜き、2020年現在)らしいです。


熊胆について質問があったので少し調べてみました。熊胆の服用量は本や処方する先生ごとに結構幅がありました。きっと(服用者の)感覚的なもので量を加減していたのかなと想像します。だいたい1回あたり0.02g~0.25gぐらいのようですが、耳かき1杯~サジ1杯分と思ってもらえれば。もっと服用する人もいたようですが、どうなんでしょうね(^-^;;;;

「熊胆は昔は金と同じぐらいの価値がある」と書いていて考えたのですが、C型肝炎のハーボニーは発売当初1粒8万円、金の値段は1g5000円ぐらい。今も昔も薬の価値(健康の価値)って凄いんだなって思います(^-^;;;

熊胆の買い取りはしておりません。生薬は採取→販売ではなく、加工・検査などが必要です。参考:漢方薬の買い取りをしていませんか?という質問がありました

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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