脳卒中後のケアと漢方薬

「舒脳益(じのうえき)が入手できないので、何か代替のものはないか?」というご相談が、2・3件続きました。舒脳益という商品を調べてみると、中国からの個人輸入品で、現在販売が中止のようです。あるブログでは脳卒中の特効薬と書かれていました。・・・そこまで言い切るのはどうかと思いますが、脳梗塞後にリハビリをしながら服用するには問題はありません。

舒脳益はキレンソウという生薬が主成分でその他は補気の生薬が中心です。そのため、補陽還五湯(ほようかんごとう)という処方でも代用できるかな、と考えました。

脳卒中のケアと補陽還五湯

脳卒中後のケアの処方として補陽還五湯(ほようかんごとう) [医林改錯]という処方があります。

黄耆・当帰・赤芍・地竜・川芎・桃仁・紅花という、体の元気を出す(補気)+血行循環を改善(活血)する生薬で構成された処方です。

補陽還五湯:中風後遺症(気虚血瘀)
半身不遂、顔面神経麻痺、発語障害、口角からよだれが出る、下肢麻痺、頻尿あるいは尿失禁
神戸中医学研究会 中医臨床のための方剤学
この処方は補気薬と活血薬の配合により血行改善をはかり、欠けた2分の1の陽気を回復し、元の五に返すので還五、すなわち補陽還五湯と名づける。漢方まんだら

小太郎漢方から補陽還五湯エキスが発売されました。もしエキス剤(粉薬)で作るなら、桃紅四物湯に黄耆末と地黄末を加えるか、冠元顆粒に黄耆末(もしくは衛益顆粒)と地竜末を加えることになります。それ以外には、冠元顆粒での対応の方も、瘀血を取る生薬の丹参が入っているため、効果があるかもしれません。

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小太郎_匙倶楽部

どちらにしても脳卒中の特効薬!(=死んでしまった細胞を回復する)という訳でなく、「体の元気を補い、血行循環を改善し、リハビリをすることで」機能の改善をするための処方です。

脳卒中予防と冠元顆粒

冠元顆粒と脳卒中予防の記事で、週刊朝日の漢方増刊号に掲載されいた記事ですが、

冠元顆粒が細胞の中でエネルギー代謝を担う器官であるミトコンドリアの働きを正常化し、酸化ストレスによって発現するタンパクを押さえることや、細胞の生存率を高めることなどもわかった。
さらに活性酸素やフリーラジカルの影響を受けると細胞を包む脂質が過酸化脂質に変化するが、冠元顆粒を事前に添加しておくと、脂質があまり過酸化されないことも示された。(中略)
基礎研究では脳卒中の予防に、また、臨床研究では血管性の認知障害やそれに伴う不安、パニックに効果があることなども示されている。漢方増刊号 KANPOU2006 P123

と、血管性の抗酸化力を表すとのことですので、改善の一助になる、と考えています。

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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