高プロラクチン血症の基礎
高プロラクチンの西洋薬と漢方薬については別のページにて解説しています
まとめ プロラクチンが上昇しすぎると妊娠しにくくなることも。 夜だけ高いなど「潜在性高プロラクチン血症」も見られる プロラクチンが上昇するには色々な理由がある。 |
高プロラクチン血症とは?
不妊症、不育症の話をすると、必ずといっていいほどPRL(プロラクチン)の話がでます。
『PRL(プロラクチン)とは??
妊娠を中止させる悪いホルモンじゃないの?』
PRL(プロラクチン)とは、乳汁を分泌させるためのホルモンです。
妊娠後にはPRL(プロラクチン)の濃度が上がり、大切な赤ちゃんのために母乳が出ます。
そして、赤ちゃんのおっぱいを吸う刺激(乳首刺激)で、さらにPRLは分泌されます。
PRLによって、排卵が抑制されます。
どちらかというと、妊娠後のためのホルモンですね。
これが、何らかの原因によって、異常に高い場合には排卵が抑制され不妊につながります。
PRLは生理周期によってほとんど変化はしませんので検査は採血のみで簡単に測定できます。
時々、「母乳が出ていないから、高プロラクチン血症ではない」という方もおられますが、母乳が出ないで高プロラクチン血症の方もおられます。
『最初の検診で、プロラクチンは高くなかったよ?!』
『じゃぁ、高プロラクチンではないのね!』
ええ、大丈夫ですね・・・といいたいところですが、PRLは「ストレス」や「睡眠時に」高くなることがあります。(もしくは若干の日内変動もあります)
通常は正常値でも、何かの原因でプロラクチンが高くなる、隠れた高プロラクチン血症(潜在性高プロラクチン血症)が不妊症の方には見られます。
潜在性高プロラクチン血症を調べるにはTRH負荷試験(TRHテスト)などがあります。
PRL(血清) | 正常値 |
男性 | 4.1?11.4ng/ml |
女性 | 3.4?24.1ng/ml |
追記:データについて;;基準値は学会・書籍・年度によって色々と基準値が変化していますので、 目安として考えてください。
当サイトでは妊娠を希望する場合、15ng/mlを超えるとPRLが高いと考えます。
関連リンク:高プロラクチン血症ってなぁに?【AllAbout】
プロラクチンが高くなる原因とは?
生理的な要因
寝ている時・授乳中(乳腺への刺激)・ストレス・妊娠
病気(腫瘍なども)
プロラクチノーマ・Chiari-Frommel症候群・先端巨大症・脳下垂体腺腫etc
ex) 下垂体腫瘍が原因→→視野が狭くなる・頭痛etc
ex)甲状腺機能低下が原因→→体温が低い・いつも眠い・尿崩症
服用しているお薬[薬剤性]
中枢神経に作用するもの (ハロペリドール・イミプラミンetc)
降圧作用のあるもの (アルファメチルドーパetc)
胃腸薬 (シメチジンetc)
ホルモン剤 (経口避妊薬etc)
まずは病院で採血し関連ホルモンを検査してもらいましょう。
他のホルモンを総合的に見て、方針を話し合うと良いかと思います。
漢方薬と高プロラクチン血症については、次ページで説明します。
※薬剤性(副作用)での高プロラクチンについては、処方されている薬局にてお尋ね下さい。
関連リンク:レディースホーム
高プロラクチン血症によって起こること
プロラクチンが高いと、FSH・LHの分泌が低下などで、卵胞が発育しない、黄体が少なくなり赤ちゃんの受け入れ準備ができなくなります。
[症状] 乳汁が出る・生理前に乳房が張る・生理が遅れる・生理がない
検査方法:TRH負荷試験とは?
高プロラクチン血症は採血で判断します。
なかでも「隠れ高プロラクチン血症」(潜在性高プロラクチン血症)は、いつでもプロラクチンの値が高い・・・わけではありませんので、負荷試験をして、プロラクチンが高くなりやすいかどうかを判断します。この試験にはTRH負荷テストがあります。
通常、TRH負荷試験と同時に、甲状腺の状態(TSH)も見ます。
病院で測定した結果、潜在性高プロラクチン血症と診断された30代の女性。テルロンを服用すると悪心の副作用がきついため、病院でDrに相談の上、カバサールに変更。漢方薬としては、逍遥散と炒麦芽などを併用しました。その後調子が良く、現在妊娠中です。
※ 過剰に反応するかを見ます。 ある病院では、30分後にPRL70ng/ml以上の場合、潜在性PRL陽性と判断しています。負荷試験前のPRLと比較して4?5倍以上を陽性と考える場合もあります。
※ 病院・クリニックで基準値・検査方法が違う場合もありますので、病院にてご確認ください。
もっと詳しくTRH負荷試験について
TRHにはプロラクチンを放出する作用があるので、検査に使います。
1. 採血→ 2. TRH注射→ 3. 15分後 又は 30分後を採血して比較します。
※ 注射後に気分の悪くなる・尿意・熱感の副作用があります。
この検査は、原因を特定する検査ではありません。高プロラクチンの原因は、複合的な要因を考える必要があります。