妊娠中の養生

妊娠中にお勧めする漢方(安全な処方をピックアップ)

 妊娠初期を過ぎた妊婦さん。妊娠期間は280日もあるのですから、病気や風邪になる可能性もあります。 「○○の処方は妊娠中には使ってはダメ」というのあっても「妊娠中はほとんどの薬がダメ」という考えが広がってきたのはごく最近のことです。服用しても安全な処方もあります。一般的に良く使用している漢方を紹介します。

※ご注意: 生薬に対してアレルギーのある場合は予めご留意ください。既往症がある場合は、ご相談の上で服用するようにしてください。また症状や時期によっても注意を要することがありますので、専門家に相談の上で、服用する様にしてください。

風邪の予防や妊娠中の風邪対策

いつもゾクゾクするタイプ、いつも喉から来るタイプ、喉の乾燥感から悪化するタイプ、そういった体質に合わせて、少量からお試しいただけます。ご相談ください。 

風邪

喉の痛み
天津感冒片、養陰清肺湯、麦門冬湯、桔梗石膏

漢方薬では、天津感冒片てんしんかんぼうへんをよく使っています。妊娠中での風邪の初期、イガイガしたときに効果的です。発熱時にも使えます。痛みには桔梗石膏湯なども良いですね。どちらも熱(炎症)を下げるお薬です。板藍根のサプリメント、またティートゥリーやエキナセアのブレンドハーブティーも調子が良くなります。こちらも短期的に使うものです。 

※市販品で、イソジンガーグルなどのヨウ素が主成分のうがい剤があります。「うがい」などでは体内にはいることがないので大丈夫ですが、スプレータイプの場合は注意が必要です。ヨウ素は胎盤を通過し胎児に影響を与えることがあるため、大量の使用は止めましょう。

どうしても高熱が出て、、、というときの解熱鎮痛剤はアセトアミノフェン系(例:タイレノール)などを使いましょう。ただ一部の西洋の解熱鎮痛剤では、妊娠後期の赤ちゃんが循環障害を起こすという報告があるため使えません。漢方では妊娠後期には地竜という生薬を中心に使うことがあります。  

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寒気の風邪
葛根湯、桂枝湯、香蘇散

ゾクゾクとした寒気は風邪の初期症状のサイン。こんなときに使う処方です。一般的には葛根湯などが使われますが、麻黄という生薬が含まれます。麻黄は交感神経を興奮させる作用がありますので、漢方薬の専門家は桂枝湯、香蘇散などを使う場合もあります。どちらも穏やかな効き目で、赤ちゃんへの影響もほとんどありません。 もちろん、葛根湯も短期に効果的に使う場合があります。

 その他

鼻水
小青竜湯

妊娠中にはホルモンバランスが崩れて、花粉症になった、逆に花粉症が治ったという場合があります。どうしても、、、という時期にだけ小青竜湯を使う場合もあります。妊娠中はごく短期間、もしくはひどいときのみ使う場合が多いです。 

膀胱炎
五淋散

漢方薬の場合は、五淋散などを使います。「淋」はその名の通りおしっこの病気に使われる単語。尿が出にくい、灼熱感がある、と言ったときに使える安全なお薬です。西洋薬の場合は、セフェム系の抗菌剤(ケフラール、バナンなど)を処方されることがあります。 妊娠中の膀胱炎は辛いらしいので、冷えて膀胱炎になるタイプの方は温めるような処方を予防として服用するといいです。

紫雲膏

 妊娠中は服用薬よりも、外用薬中心になります。痛みを抑えて、血行循環を良くする紫雲膏軟膏もしくは紫雲膏の座剤を使います。塗り薬の場合は、胎児に影響が少ないため安心して使えます。 

便秘
麻子仁丸

 便秘薬は腸を刺激するタイプと水分を吸収して便を軟らかくするタイプの二種類があります。妊娠中は便秘になりがちです。が、これは妊娠前と違う作用で起こる便秘。胎児にも影響の少ない、安全な漢方処方に変更しましょう。

[2014/10/20追記]

日経DI(ドラッグインフォメーション)に、妊婦に慎重投与の漢方薬一覧表を活用という記事が掲載されました。とてもわかりやすい表だと思います。薬剤師さんが病院などで指導する場合はいいかと思いますが、一般の方が自己判断するには難しいのでご注意ください。ご自身の体調でも違いますし、どの生薬が中心になっているか、記載されている以外の生薬、によっても違ってきます。まず、専門家にご相談ください。

  • この記事を書いた人

ゆうき先生(福田優基 薬剤師[pharmacist]/国際中医師)

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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