マグロのお刺身を食べてはいけないのですか?
「妊婦さんはお刺身を食べてはいけないのですか?」「不妊治療中にお刺身を食べてはいけないですか?」というお問い合わせもあります。
そういったお問い合わせには、こう答えています。
『リスクがあるのは、妊娠4週目以降です。妊娠に気がついてから節制したら大丈夫ですよ。
妊娠中でも、1週間に1回程度刺身を食べるぐらいならば胎児に問題がありません。
魚料理は良質の蛋白が含まれ、とても良い栄養摂取源です。
気になるようでしたら小型中型の青魚を食べるようにしてくださいね。』
お魚と水銀
もともと水銀は世界中に存在して、山や川、海、雲と循環しています。
で、その微量ならまだいいのですが、プランクトン→小魚→大きな魚→マグロという生物濃縮を受けます。
水銀には、有機水銀と無機水銀があり、
- 有機水銀:金属-炭素結合を含む、脂溶性、生体濃縮性が高い、メチル水銀→魚に含まれやすい
- 無機水銀:脂溶性、生体濃縮性が低い→魚に含まれにくい
有機水銀(メチル水銀)が刺身に含まれていたことが問題になっています。
子供や大人は問題なし
平成15年にも同じような報道はありましたが、刺身などに含まれるメチル水銀は微量で、食べてもほとんどが代謝されてしまいます。
胎児に対する副作用も実際はほとんど判明していませんので、まぁ気をつけましょうか、程度のあやふやな基準になっています。
魚料理は、良質なタンパクとEPA、DHAなどが含まれるため認知能力が高くという説もあるぐらいですから、この話で魚嫌いになるのはもったいないな・・・とも思います。
(高所得者の中国人は子供のために、日本でEPADHAのサプリメントを購入して帰るぐらい評価が高まっています)
参考
平成20年1月に海外の刺身から水銀が検出されたというニュースがありました。平成15年にも同じように刺身の水銀が問題になったことがありました。
Recent laboratory tests found so much mercury in tuna sushi from 20 Manhattan stores and restaurants that at most of them, a regular diet of six pieces a week would exceed the levels considered acceptable by the Environmental Protection Agency.
High Mercury Levels Are Found in Tuna Sushi – New York Times
参考:妊婦と魚の危険な関係?その真実を検証! -healthクリック
魚介類には有機水銀が含まれている可能性がある一方、エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸といったn-3系多価不飽和脂肪酸などの有益な成分も含む。新たな研究の結果、妊娠中に魚の摂取量が多いほど、生後6カ月時の子どもの認知能力が高く、水銀摂取量が多ければ、逆に認知能力は下がることがわかった。
妊娠中に水銀が少ない魚をたくさん食べると子供が賢くなる
妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項の見直しについて:厚生労働省(平成17年11月2日)