手術・病気: 2007年9月アーカイブ

鍼治療で効果 難治性疾患「ジストニア」

頸部筋の筋電図検査=大阪府熊取町の関西医療大学
 ■理学療法と組み合わせ 顕著な改善例も

 脳の神経系の何らかの障害によって筋肉が不随意に収縮を続け、身体にねじれやゆがみが生じて自分の思い通りに動かなくなる難治性疾患「ジストニア」。原因が未解明のうえ、個々の症状の違いが大きく、治療も対症療法しかないのが現状だ。そうしたなか、関西医療大学神経病研究センター(大阪府熊取町)で同大保健医療学部の鈴木俊明教授が開発した理学療法と経絡(けいらく)、経穴(けいけつ=ツボ)の概念を組み合わせた鍼(はり)治療法が、静かな広がりを見せている。(服部素子)

 「ジストニアは、中枢神経系の障害に起因する運動異常症の症候名。その症状は、首が傾く頸(けい)部ジストニア(斜頸)や、文字を書こうとすると手が震える書痙(しょけい)など異常な姿勢や動きとして現れます。しかし、MRI(核磁気共鳴診断装置)でも異常がみられず、診断も非常に難しい」と鈴木教授は話す。

 理学療法士である鈴木教授が、ジストニアへの鍼治療に関心を抱いたのは十数年前、頸部ジストニア患者の劇的な改善を目にしたことから。

 平成7年、同大学の前身である関西鍼灸(しんきゅう)短期大学附属診療所神経内科で、頸部ジストニア患者への鍼治療を神経内科医、鍼灸師とともにスタート。その効果を、臨床症状評価と筋電図学的評価から証明する治療システムを作り上げた。

 臨床症状評価は疼(とう)痛評価など5項目で、筋電図学的評価と総合し、筋肉の過剰収縮や不随意運動などの一次的障害と、筋肉・皮膚の短縮や疼痛などの二次的障害を把握。それに応じた鍼治療を行う。

 治療は、刺入深度5ミリの鍼を刺したまま留める置鍼法で、筋緊張抑制を目的とする場合は5分間、筋緊張促通を目的とする場合は10分間が基本だ。

 12年に、同科に定期的に通院し、鍼治療を受けている頸部ジストニア患者32人(男性17人、女性15人、平均年齢40.8歳)を対象に、置鍼治療10回目に効果を検討した結果、疼痛評価や自覚的評価などの改善が顕著で、副作用もなかったという。

 「当時、本学にこられる前に全員が薬物治療を受けており、MAB治療やボツリヌス治療、外科手術を併用していた人もいました。鍼治療と並行して薬物治療も行いましたが、他の治療法で症状の改善がなかった人でも、鍼治療の効果が期待できます」と鈴木教授は話す。

 国内には約2万人の患者がいると推定されているが、発症要因は遺伝性、外傷性、肉体的・精神的ストレスなどさまざま。また、職業性ジストニアとして、ピアニストやギタリストなどで手に痙攣(けいれん)が起きて、演奏できなくなる奏楽手痙などもある。

 ジストニアの患者らでつくる「ジストニア友の会」の佐藤治子副理事長は「ジストニアは本来、神経内科を受診すべき疾患です。治りにくい病気ですが、早期発見と正しい治療で完治、症状改善の可能性はあります。西洋医学的な手法と鍼治療の併用で、より効果のある治療になれば」と話している。

(2007/09/26 08:47)http://www.sankei.co.jp/seikatsu/kenko/070926/knk070926000.htm

 

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