生殖医療: 2007年9月アーカイブ

精原細胞の動き確認
京大グループ 米誌に発表
 精子の基となる「精原細胞」が分裂しながら移動する様子を、京都大医学研究科の吉田松生助教、鍋島陽一教授らのグループがマウスを使って映像でとらえることに成功した。初期の精原細胞に含まれる幹細胞が自らを維持し、精子へと転換する仕組みの解明につながる成果という。米科学誌「サイエンス」で6日発表した。

 哺乳(ほにゅう)類は、精巣の精細管の外側の膜(基底膜)にはりついている精原細胞が分裂を繰り返して精母細胞となり、減数分裂を経て精子がつくられる。初期の細胞は「未分化型精原細胞」と呼ばれ、その中の一部は、長年にわたって精原細胞をつくり続ける幹細胞であることが分かっている。

 吉田助教らは、未分化型精原細胞が蛍光で光るマウスをつくり、生きたまま細胞の分布と分裂の様子を観察した。未分化型精原細胞は基底膜をとりまく血管、とくにライディッヒ細胞(男性ホルモン産生細胞)の多い血管分岐の付近に集まっていて、分裂を繰り返すうちに精細管全体に満遍なく散らばった。細胞が集まる部分には、幹細胞を維持、制御する環境があり、その環境を離れながら細胞の性質の転換が進むらしい。

 幹細胞の維持や転換する機構の解明は、再生医療への応用にもつながることから世界で研究が進められている。吉田助教は「未分化型精原細胞が、このような移動をしていることに驚いた。幹細胞を突き止め、細胞を制御する仕組みを明らかにしたい」と話している。 
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007090700026&genre=G1&area=K10

★習慣流産とは、連続して流産を3回以上繰り返す事。
 染色体異常や抗リン脂質抗体、膠原病や免疫異常などいろいろな原因が考えられます。
 その中の、染色体異常に限って、受精卵の染色体を調べ正常なものを選んで着床させたという話です。

学会承認「習慣流産の着床前診断」2組が年内にも出産
 北九州市のセントマザー産婦人科医院(田中温院長)が、日本産科婦人科学会の承認を受けて、習慣流産の夫婦5組に着床前診断を実施、うち2組が年内にも出産する見通しとなった。

 日産婦の承認手続きを経た実施例では初の出産になる。仙台市で始まった日本受精着床学会で30日、発表された。

 習慣流産では、夫婦いずれかの染色体の異常で、何度も流産を繰り返す。日産婦は昨年4月の総会で、染色体の一部が入れ替わる異常による習慣流産に限り、受精卵の染色体が正常なものだけを子宮に戻す着床前診断の対象として認めた。

 田中院長によると、日産婦の承認を受けて着床前診断を実施した5組のうち、3組が妊娠した。1組は流産したが、妊娠中の2組の胎児の染色体に異常はないという。

 日産婦によると、習慣流産の夫婦の着床前診断の承認例は現在5施設18例。

(2007年8月30日11時1分  読売新聞)

白血病女性の卵巣の一部を治療前に凍結保存、国内初の試み
 都内に住む白血病の女性の卵巣の一部を、放射線治療などで傷つく前に採取して凍結保存したと、不妊治療専門の加藤レディスクリニック(東京・新宿区)の香川則子研究員が31日、仙台市で開かれた日本受精着床学会で報告した。

 将来、体に戻して妊娠の可能性を残すことが目的で、国内では初の試みという。

 この女性は未婚で27歳。同クリニックで今年1月、卵子などの凍結保存用に広く普及している「ガラス化法」と呼ばれる方法を応用し、卵巣組織の一部を凍結保存した。女性はその後、他の病院で放射線治療などを伴う骨髄移植を受けた。

 白血病など、がんの治療のために大量の放射線や抗がん剤を使うと、卵巣が機能を損なうことがある。卵巣を事前に取り出して保存できれば、将来、移植して排卵機能を回復できる。

 女性がん患者の卵子を凍結保存する試みは、国内の一部の医療機関で始まっている。しかし、卵子採取は女性の排卵期に合わせるため、採取時期が限られているうえ、将来、出産する場合は体外受精となる。卵巣組織ならいつでも採取でき、1センチ四方程度の組織でも、移植が成功すれば約2年間は自然妊娠が可能になる。

(2007年8月31日19時2分  読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070831i212.htm

★卵の凍結はよく聞くが、卵巣の組織を凍結→移植するのには驚く話。
 定着できれば、生殖組織に影響を与える治療に幅が広がるはず。

凍結保存の卵巣組織を移植へ…新宿のクリニックと米の病院
 東京都内の不妊クリニックと米ミズーリ州の病院が、凍結保存した卵巣組織の移植手術を、米国人姉妹間で計画していることがわかった。

 卵巣組織の凍結保存は、女性のがん患者から、治療で障害を受ける前に卵巣組織を取り出して保存し、治療後に戻すことで生殖能力を残す技術として期待されている。この移植は世界的に例が少なく、移植した組織が正常に機能するか注目される。仙台市で30日から始まる日本受精着床学会で発表される。

 移植チームで凍結技術を担当する加藤レディスクリニック(東京都新宿区)の桑山正成・研究開発部長によると、移植を受けるのは31歳の女性で、骨髄移植のため卵巣機能を失った。姉から取り出した卵巣の一つを移植する手術を今年1月に受けたが、機能しなかった。このため、移植の失敗に備えて凍結保存した約1センチ四方の卵巣組織を解凍し、10月末にも妹に移植。約2年間は排卵機能が回復し、妊娠が期待できるという。

(2007年8月30日3時7分  読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070830i501.htm

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