不妊症でよく使う漢方薬【前編】[補血薬と補気薬]
不妊症でよく使われる漢方薬
中国漢方では人体を「肝・心・脾」などの五臓六腑を中心として考えます。
五臓六腑を工場とするならば、中医学の「気・血・水」は原材料にあたります。
なかでも、不妊症の場合は、ホルモン・生理に深くかかわりのある「血」
血を動かしたり、体のエネルギーになる「気」
また、五臓六腑の中でも生殖にかかわる「腎」
この3つを特に検討することになります。

★★穏やかに血を増やす漢方薬★★
血を増やす生薬が「当帰」で、血を増やす漢方薬には必ず含まれています。
婦人科でよく使われる漢方薬の原型は四物湯です。
トウキ・センキュウ・ジオウ・シャクヤクが含まれ、それらから派生した処方が数多く生み出されました。
当帰芍薬散
月経不順に生理痛にと医師に好まれるのが当帰芍薬散です。虚証から中間証まで使います。補血効果はやや弱いですが、利水効果の高い生薬が配合され、胃の排水が悪く、胃がポチャポチャするようなタイプの方に使います。
シャクヤク(芍薬)・ソウジュツ(蒼朮)・タクシャ(沢瀉)・ブクリョウ(茯苓)・ センキュウ(川弓)・トウキ(当帰)
婦宝当帰膠
血を増やすための「当帰」が多く含まれており、虚証から中間証まで使います。月経不順やPMS、冷え性に使います。活血効果はやや弱いですが、血を増やす効果が強く手足の冷えがあるタイプなど全般的に服用しやすい漢方薬です。
トウキ(当帰)・オウギ(黄耆)・ジオウ(地黄)・ブクリョウ(茯苓)・シャクヤク(芍薬)・センキュウ(川弓)・カンゾウ(甘草)・トウジン(党参)・アキョウ(阿膠)
温経湯
生理期間の冷えなどはすぐに血の巡りを悪くし生理痛などが生じやすくなります。温経湯は血の巡りをよくして、生理の痛みなどを解消します。
特に腹部の冷えなどが強いタイプにはよく使います。生理痛が酷い場合は、桂枝茯苓丸を加減したり活血の生薬を加減する場合もあります。
バクモンドウ(麦門冬)・ハンゲ(半夏)・トウキ(当帰)・カンゾウ(甘草)・ケイヒ(桂皮)・シャクヤク(芍薬)・センキュウ(川弓)・ニンジン(人参)・ボタンピ(牡丹皮)・ゴシュユ(呉茱萸)・ショウキョウ(生姜)・アキョウ(阿膠)
参茸補血丸
ハゲキテン・トチュウ・ロクジョウ・ニンジンといった体を温める成分が多く、体が冷えやすいタイプに使います。女性ホルモン様作用があるため、不妊症などにも使えます。
高温期がしっかりとしないタイプに、また、引用バランスが悪い場合に服用します。
オウギ(黄耆)・トウキ(当帰)・ゴシツ(牛膝)・トチュウ(杜仲)・ニンジン(人参)・ハゲキテン(巴戟天)・ リュウガンニク(竜眼肉)・ロクジョウ(鹿茸)
気(エネルギー)と血(ホルモンバラス)を整える漢方薬
補血薬の四物湯と、補気薬の四君子湯が基本になります。
四君子湯は、からだを元気にする生薬中心で「人参・茯苓・白朮・炙甘草」の処方構成になります。同じく補気作用のある黄耆などが含まれる場合もあります。
じっくりと体調を改善してくれる処方で、補血薬を加えることで満遍なく虚証に合わせて用いることができます。
十全大補湯
女性のための処方といわれる四物湯に、気を産み出す四君子湯を加えたのが十全大補湯です。虚証から中間証までに幅広く使えます。また、産後や病気の後の体力回復にも最適です。病院でも、術後の回復期に用いられたりしています。
不妊症では、体力が全くない、全身の疲労感が強い、慢性疲労症候群などの改善に使い、長期的に服用します。
オウギ(黄耆)・ケイヒ(桂皮)・ジオウ(地黄)・シャクヤク(芍薬)・センキュウ(川弓)・ソウジュツ(蒼朮)・トウキ(当帰)・ニンジン(人参)・ブクリョウ(茯苓)・カンゾウ(甘草)
帰脾湯
血が不足すると眠りが浅くなる、イライラしやすくなるといった症状が起こります。そういった精神的な不安定感を解消するのが帰脾錠です。虚証から中間証まで幅広く使えます。
構成から言えば、四君子湯+当帰補血湯加減ともいえます。脾虚を治すことで、心の不具合を治す処方です。
不妊症では不眠イライラでかつ虚証が強い場合に、服用します。全身症状の改善に使います。
オウギ(黄耆)・ニンジン(人參)・ビャクジュツ(白朮)・ブクリョウ(茯苓)・サンソウニン(酸棗仁)・タイソウ(大棗)・ トウキ(当帰)・オンジ(遠志)・ショウキョウ(生姜)・モッコウ(木香)・カンゾウ(甘草)・リュウガンニク(竜眼肉)
補中益気湯
人参と黄耆を主体にして、柴胡や升麻など昇提を目的にする処方です。脾虚の治療のために用いられますが、利水の効果は平胃散・参苓白朮散などの処方が強く、使い分けます。
オウギ(黄耆)・ソウジュツ(蒼朮)・ニンジン(人参)・トウキ(当帰)・サイコ(柴胡)・タイソウ(大棗)・チンピ(陳皮)・カンゾウ(甘草)・ショウマ(升麻)・ショウキョウ(生姜)
※上記はあくまで一例です。
※漢方薬は証に合わせて色々な使い方があります。
※漢方薬に詳しい薬剤師・医師にご相談下さい。
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