イスクラ 漢方処方 疲労、虚弱体質

麦味参顆粒はこんな処方です

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麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)は好きな処方の一つなのですが、今まで記事を書いていなかったようで、今更ながら書いています(^-^;;;; 

麦味参顆粒の症例

麦味参顆粒を一言でまとめると?→→→「元気をつける処方」「飲む点滴」。もちろん、同種の漢方処方なら、補中益気湯であったり十全大補湯であったり、レバンコンク・レオピンのようなアミノ酸製剤、グロンサン・リゲイン・リポビタンのような栄養ドリンク、色々とあります。

これらとどう違うのか、漢方ではどう考えるのか、をお話してみます。

症例:疲労・倦怠感・子育て

30代女性、2人の子育て(幼稚園と小学生)、フルタイム勤務。疲れやすく家に帰ってから家事が出来ない。早くなんとかしないと・・・と焦りが強い。イライラとして、子供に当たってしまう。生理前から生理まで疲労感と緊張感あり。睡眠の質が悪く、朝起きても疲れが取れない。怖い夢や昔の嫌な思い出の夢を見る。

無性に、イライラするときがあるらしく子供に当たっては後悔するとのこと。気持ちはすごくわかります、子供を大切に思う気持ちと、行動の遅さにイラつく気持ち。「なんでそんなこと出来ないんだ~~!!」って思っちゃうんですよね。

疲れが無ければ抑えられる気持ちも、疲れると抑えられない。お母さん方は「自分が悪い!」とそこで反省しちゃうんですね。で、また疲れると。こんな悪循環は漢方で早く改善しましょう。

この方の場合ですが、心脾両虚をまず考え、加味帰脾湯+カミセーヌNに合わせて、短期的に体のエネルギーを補う意味で麦味参顆粒をお渡ししました。

2週間後ぐらいにお電話を頂きまして、「まず眠りの質が違う」「子供に当たる回数が減りました」と喜ばれました。服用し始めてまず家事が出来るようになったらしいです。そのまま継続して頂いております。

症例:夏バテで体がだるい

50代女性、よくご来店いただく方。7月末の猛暑の日に来店されました。体調の変化を問診したり、とお話をしていると。目に見えて、疲れています・・・。さすがにこれは・・・と思い、麦味参顆粒を「服用してみて」とお渡ししましたところ、後日、FAXをいただきました。

お電話でおはなししたところ「凄い変化!という訳では無い」けれども「服用するのとしないのとでは全く違う」とのことで喜ばれていました。

フルタイムでお仕事もされていますし、家事も頑張っています。家に帰ってからバタバタとするとあっという間に次の日。本当は仕事量を減らせればいいんだけど。疲れていてもなんとが頑張っていける、そうお話しになっていました。

麦味参顆粒はこんな処方です

上記二例とも、エネルギーを補う意味でお渡ししています。添付文書を見てみますと、

効能効果::次の場合の滋養強壮、虚弱体質・肉体疲労・病中病後・胃腸虚弱・食欲不振・血色不良・冷え性・発育期 イスクラ麦味参顆粒添付文書より

とされていますが、ほどよく漠然としていますよね。特に「あっ、これ冷え症に効くんだ!」と思ってしまうと、あまり効果が無かったり。漢方的な考え方を知って使って上げると良く効く処方です(^-^;;;

服用方法

服用は1日2回、1回1包を基本とします。服用のタイミングとして、エネルギーを補う処方なので、朝一番に1回は必ず服用してもらっていて、2回目は疲れたなーと思ったとき、例えば昼であったり夜であったり。その時にすぐに服用してもらいます。毎日服用する事もありますが、頓服で使う場合もあります。

頓服の場合は、他のベースとなる処方、体調を改善する処方ですね、婦宝当帰膠でもいいですし当帰芍薬散でも、を服用して頂いております。

構成生薬

麦味参顆粒は「人参・麦門冬・五味子」の3つの生薬から構成されています。四君子湯(人参・白朮・茯苓・甘草・大棗・生姜)と同類の補気薬ではありますが、処方がさらにシンプルです。漢方ではシンプルなものほどシャープな効果があります。

この配合の意味は

  • 人参は気を補い、
  • 麦門冬は気を清し(冷ます・余熱を取る・潤す)
  • 五味子は気を斂す(収斂する・漏れ出ていかないようにする)

つまり気と陰(津液)を補うため、気陰両虚に対する処方ともいわれています。寒熱のバランスがほどよく取られていますので、他の処方と併用、寒熱偏らず使いやすい処方です。

人参 大補元気・安神益気・健脾益気・生津
麦門冬 潤燥生津・化痰止咳
五味子 斂肺滋腎・生津斂肝・渋精止瀉

日本で使われる気陰両虚のための処方には、生脈散以外にも、炙甘草湯、麦門冬湯、清心蓮子飲が有名で、症状や部位によって使い分けられています。

気陰両虚の症状

麦味参顆粒をGoogleで検索すると「夏バテの処方」と直感的に記載されているトコロもあります。ただ、麦味参顆粒は当薬局では通年で使っていますし、その症状となる気陰両虚はいつでも起こります。もちろん、販売数が大きく増えるのは夏期ですが・・・(^-^;;;;

気陰両虚、ふんわりと「虚弱になるんだろうなぁ」とイメージできますが、具体的には

肌が乾燥する・化粧のノリが悪い・髪がパサパサする・肌に艶がない・便秘気味である・食欲が無い・夢が多く眠りが浅い・手足が火照る・風邪を引きやすい・疲れやすいやる気が出ない・喉が擦れる

といったような、熱中症一歩手前といえば判りやすいかもしれません(^-^;;;;

漢方的な考え方

私は中型バイクの免許を持っていまして。昔はバイクに乗って安全に走っていました(^-^) 夏の暑い日、摂津の山を走っていてオーバーヒートを経験したんですね。オーバーヒート、つまりラジエーターからの冷却水漏れです。

小石を跳ねてしまってラジエーターに傷がついたのか、パイプが緩んだのか、原因はわかりません。妙な警告灯がついた、エンジンがいつもとは違う、速度が出ない。エンジンがうまく冷却できないので制御がかかるんでしょうね。気陰両虚も同じです。

  • 冷却水(津液)が不足する    →元気(気)の出力も上がらない
  • 元気がうまく制御(不足)できない→元気(気)の出力も上がらない

六君子湯のような「脾が弱くて元気が出ない」でもなく「腎が弱くて元気が出ない」でもないんです。「もとが元気な人」ですら息切れ(冷却できない・元気がない)してしまう、そんなときに使います。

久しぶりに海に行って泳いだ後のような、高校生の頃に走らされたマラソンの後のような、仕事やら家事やら・・・することは多いのにからだがついていかない。

イメージできましたでしょうか(^-^;;;;; 「中医学的に全く違うよ!」という中医学プロの方。あくまでイメージです。ご了解ください。

成り立ち

麦味参顆粒は処方名で「生脈散(しょうみゃくさん)」といわれ「人が死せんとする時、まさに脈が絶えんとするもの、これを服せばよく回復する」と2000年前ぐらいの古典に書かれています。・・・もちろん瀕死が生き返るという効果は大げさですが「早く元気が出てくる」と考えられたのだろうと思います。

日本で製品(麦味参顆粒)として発売されたのは1995年です。下記はその当時のパッケージ写真です(もう流通していません)。昭和風なパッケージですが平成生まれです(^-^;;;

2000年代になりパッケージ変更と成分(製法)の調整をしまして、現在の製品になっています。リニューアルで少し酸味(五味子の味)が強くなりました

類似製品

麦味参顆粒にはその後に発売されたいくつかの類似製品がありますが、並べてみると生脈宝エキス細粒Aは構成が違っています。

麦味参顆粒(イスクラ) ニンジンエキス0.7g
人参3g
麦門冬軟エキス 1.4g
麦門冬2g
五味子軟エキス 0.6g
五味子1.1g
 
生脈宝エキス細粒A(松浦) ニンジンエキス860mg
人参3g相当
麦門冬エキス420mg
麦門冬1.8g相当
五味子エキス400mg
五味子1.2g相当
黄耆エキスS 290mg
黄耆1.2g相当
生脈散エキス細粒G「コタロー」(小太郎) ニンジンエキス 0.7g
人参3g
麦門冬エキス 0.9g
麦門冬2g
五味子エキス 0.4g
五味子1.1g
 

黄耆エキスが加わっていますね。李東垣という偉い先生の「本方に黄耆・甘草を加えて生脈保元湯と命名し気を補う力をさらに強化し~」のあたりから、強化するために黄耆を入れたのかとは思います。ただ、どうもシンプルな麦味参顆粒のほうが効くような気がしてます、、、、。

小学生の服用もOK?!

「子供に服用させてもいいですか?」という質問も時々あります。夏場の野球チーム、特に高校野球、日中のグランドの温度はきっと凄まじいですよね。マラソンや水泳と、麦味参顆粒を服用させてあげたいシチュエーションはたくさんあります。

残念ながら、イスクラ麦味参顆粒のパッケージでは成人(15歳以上)になっています。ただ、同種の(しかも後発の)生脈散エキス細粒G「コタロー」では、

成人(15歳以上) 1包または1.5g:2回
15歳未満8歳以上 1/2包または0.75g:2回

こちらの表記、8歳以上はOKとなっていますから、不思議なものです(^-^;;;; 私の家庭では子供も服用させていたので、問題は無いだろうと思うのですが。気になる場合は、生脈散エキス細粒Gをオススメしています。

オススメ併用薬

冷えがあれば婦宝当帰膠などの補血薬であったり、霊鹿参などの補陽薬であったり。そのあたりは、併用した方がいいと思いますので、ご相談ください。

  • この記事を書いた人
youz

ゆうき先生

大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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