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越婢加朮湯はこんな人に効きます

      2016/05/19

漢方を始めたばかりの頃、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)は「不思議な」処方でした。葛根湯にも使われる「麻黄」という生薬が入っているのに、感冒(風邪引き)には使わず「浮腫を改善する」ために使います。しかも、花粉症にもリウマチにも、メニエルのような症状にも。アトピー、湿疹、(急性期の)痛風、腎炎、膠原病などの色々な症状に効果があります。

簡単な構成の処方なのに、効果が早く、他の処方との組み合わせもしやすい処方です。

60代女性、関節炎に越婢加朮湯を使った話

60代女性、右手首の関節炎のご相談がありました。関節炎といっても色々な原因があります。左右の手首を見比べてみると確かに腫れて若干赤くなっています。この方の場合は、杖をついて歩くため、手首に負荷がかかっているように感じました。

「ロキソニンを貰って痛みは引いてるけど、この腫れているのをなんとかしたい」

病院から処方されたロキソニンを服用するとジクジクとした痛みは治まるらしいのですが、腫れは引かないしまた夜になると痛む。色々とお話をして、越婢加朮湯+αをお勧めしました。

1週間後に来店をされて「腫れはましかなー」といいつつ、さらに3週間。今では「杖をもつ手が痛い」と言わずに、歩けるようになりました。ただ、足関節に術後の痛みもあるようで様子を見ながら病院でのリハビリをお願いしています。

こちらも参考に→→なんだか足がパンパンに?浮腫がすっきり取れる漢方処方、越婢加朮湯

20代女性、虫刺されの腫れに越婢加朮湯を使った話

虫刺されにも越婢加朮湯は使えます。「虫に刺されたんですが、、、」とご来店頂いた20代の女性。見てみると、左腕中程がポコリとハレて熱を持っています。ハイキングに行って何かの虫に刺されたらしいのですが・・・。

まずは水と氷で冷やして、落ち着いたところを市販のステロイド入りかゆみ止め(^-^;;;; 抗ヒスタミン剤は飲んだことがない・・・とのことだったので、体に優しいからと「越婢加朮湯」を服用してもらいました。

越婢加朮湯の効能効果、密かに皮膚炎があります。湿疹など以外にも虫刺されにも使えるんです。抗ヒスタミン剤・・・にはちょっと負けるかもしれませんが、それでもなかなかの効果があるんですよ?!数日はそれで対処して貰うようにお話ししたのですが。後日、道でお会いしたときお話ししたら、翌日にはすっきりと楽になったとのことです。

越婢加朮湯はどんな処方?

イメージを書いてみました。公園の噴水から水が噴き出していますが、風邪(ふうじゃ)によって吹き上がった水が吹き飛ばされたりポンプの調整が乱れて、周囲に水が漏れています。

この漏れは地表を伝わって流れ溜ります。つまりムクミや腫れの原因です。そして、この水はエネルギーを持ち、溜ると徐々に熱を持ち始めます。関節炎であったり痛風であったり皮膚炎(湿疹)であったりしますが、こうした表面のムクミや腫れは「風邪(ふうじゃ)→脾肺の損傷→体にとって不要な水・熱」という流れが原因です。

越婢加朮湯は、それら不要な水・熱をポンプの力で抜き取ってあげる処方です。溜っているモノだけ抜き取りますので西洋薬の利尿剤とは違います。風邪(ふうじゃ)によって崩れた脾や肺を立て直す働きもします。

越婢加朮湯

風邪が脾と肺に影響し、水が氾濫して浮腫となった状態。越婢加朮湯は氾濫した水を抜き取る作用がある。

名前の由来

越婢加朮湯の名前の由来は「脾気を発越(発散/奮起)する」といわれています。「婢」は「脾」の誤字ともいわれていますが・・・よく解りません(^-^;;; 越脾加朮湯は間違いです。

越婢加朮湯の効能効果

体力中等度以上で、むくみがあり、のどが渇き、汗が出て、ときに尿量が減少するものの次の諸症:むくみ、関節のはれや痛み、関節炎、湿疹・皮膚炎、夜尿症、目のかゆみ・痛み

越婢加朮湯の組成

麻黄・石膏・生姜・大棗・甘草・白朮

ポイントは「麻黄+石膏」。とても相性の良いコンビで、越婢加朮湯だけでなく、麻杏甘石湯(咳・気管支喘息の処方:裏実熱症)にも使われています。エキス剤を舐めてみると若干苦みのある処方ですが、それほどまずいわけではありません。

類似処方 同一生薬  
防已黄耆湯 白朮・生姜・大棗・甘草 防已・黄耆
越婢加朮附湯 麻黄・石膏・生姜・大棗・甘草・白朮 附子
麻杏甘石湯 麻黄・石膏・甘草 杏仁
続命湯 麻黄・石膏・乾姜・甘草 桂枝・杏仁・川芎・人参・当帰

類似処方を一覧にしていますが、麻黄・石膏の組み合わせを使う処方は多いですね。

越婢加朮湯を詳しく

専門的な話なのでこちらをクリック。

辛温解表・宣散肺気の麻黄、辛寒清熱・生津止渇の石膏を基本とした越婢湯の加減処方。中医学では、風湿化熱・風水(湿熱痺証)に用い、効能は散風清熱・宣肺行水と呼ばれる。

脾気虚を伴う全身の浮腫にも使う処方で、風邪(ふうじゃ)が脾の運化の停滞によって生じる水(湿)と結びつき、肺気の宣発・粛降を阻滞すると、水道が通暢できなくなる。

そこに痰飲が停滞し、肌表に氾濫して浮腫となる。上半身の症状が多いが、全身の局所に起きることもある。陽気が閉じ込められると内熱を生じて傷津し、小便不利(出にくく)・口渇が起こる。

白朮は燥湿健脾で利水作用を増強している。

越婢加朮湯に入っている麻黄は、空気と接触する部分である皮膚や気管の血流を改善する生薬である。それに消炎作用のある石膏が加わると越婢湯の骨格ができあがる。
越婢加朮湯は皮膚病にも使うがもちろん関節の腫れその水抜きにも使われる。(中略)
麻杏甘石湯は原方が麻黄湯だが主薬の構成は越婢湯に近い。患部の熱を取りたいときに大変有効である。継承漢方による匙加減より

他の処方を併用することも多いです。ご相談ください。

参考資料:漢方方剤ハンドブック、漢方処方の構成と適用、中医臨床のための方剤学

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