つらいお腹のガスだまり、漢方と運動で解消

「お腹にガスが溜まって、、、張って辛い」そんな60代女性からのご相談がありました。2~3日に1回の排便ですが、便を出すと泥状便。食事量は若い頃と比べて少なくなってきているのに、とお困りでした。便秘や下痢だけでなく腹部の膨満感や胃の痛みなど消化器の不調は、憂鬱な気分になりますし外に出るのもおっくうに。ホント嫌ですよね。今回は、「おなかに溜るガス」について解説します。

ガスが溜まって「困る」こと?

小林製薬のサイトでは「ガスだまりの症状で困るコトのアンケート結果」がまとめられています。

・・・それによると、、、。

なんと1位は「オナラを我慢するのが辛い」

出そうで出ない、出るのを我慢すると次は出なくなる。仕事場や学校で困ります。

2位は「オナラの匂いが気になる」・・・仕事場でニオイが漂うと確かに。笑いに変えることが出来ればいいのですが。この困った匂いのあるオナラは「腸での異常発酵」が原因です。これは別のページで記載しましたのでご覧下さい。

このページのお題はこちらの、3位は「お腹が出て、見た目が気になる」4位は「ズボンなどウエストがキツくなる」・・・物理的にガスの溜まりです。普通は自然に出てくるオナラですが「苦しいほどガスが溜ってしまう」のはなぜでしょうか。

目次

ガスが出ない、動かない

消火器に溜まるガスは「飲食と共にからだの中へ」や「食物繊維が腸で異常発酵」することによって起こります。驚いたことに「飲食と共にからだの中に入った空気」の大半は、血液に吸収され肺から排出されます。残りのガスは胃腸の蠕動運動で押し流され、ゲップやオナラなどで自然に排せつされます。

ガスも便秘や下痢の原因に?!

じゃぁなぜ溜まるのか。年齢を経るごとに「腹筋や腸の運動器の減少」によって「ぶよぶよの腸」になります。腸は緩んでしまって、腸の曲がり角にガスが溜まりやすいのです。押し出す機能が低下した腸は、溜まってしまったガスを押し出せません。

溜ってしまったガスによってさらに腸がふくれてしまうと、中を通っている便も押し出せなくなります。「残り少ないマヨネーズは出しにくい」のと原理は一緒です。

さらに「ホルモンバランスの変化、自律神経のアンバランス」によっても腸が動きが低下します。

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漢方でのガスや腹痛の考え方と改善方法

漢方では体質をまず考え、その原因の解消、例えば自律神経のバランスを取る処方を考えます。色々な処方が考えられますが一例を、、、

症状 処方
冷えによる腹痛があり下肢も冷える 桂枝加芍薬湯+当帰四逆加呉茱萸生姜湯
冷えによる腹痛があり軟便や頻回の泥状便が続く 桂枝加芍薬湯+人参湯
イライラや緊張感が強く、腸の動きを感じない 逍遥散+開気丸
 お腹全体に冷えと痛みがあり、蠕動運動は自覚する(苦しい) 大建中湯+(真武湯) 
冷えによる腹痛があり、水のような便がどーっと出る 桂枝加芍薬湯+真武湯 

漢方では冷えや緊張(ストレス)から起こるガスの溜まりを改善するのは得意です。体質に応じて、便秘や熱傾向があれば大黄錠(桂枝加芍薬湯加大黄)を加えたり、桃核承気湯などを使うこともあります。

参考:漢方治療44の鉄則山本巌先生に学ぶ病態と薬物の対応

運動「ごろ寝運動」

NHK「チョイス@病気になったとき」のごろ寝運動を紹介します。腸の動きが悪くて自分でガスが排出できないとき、お勧めの体操です。

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①硬い床の上にうつぶせになる。もちろん畳の上でもOKです。あるおばあちゃんからは「床の上にうつぶせになったらもう起きれなくなるわ(=_=;;;;」と言われてしまいました。その通りです。無理をしないでください。

②そのまま左右に転がります。

ベッドの上にうつぶせになってお腹の下にクッションを置いて、身体を左右に傾けることでも代用できますし、他に、ウオーキングなども腸の運動が活発になりますから、お勧めです。漢方で緊張を緩和してあげても、腹筋(筋力)や蠕動運動が足りなければすっきりしません。運動を併せることで効果が100%発揮できます。

こんなときは別の病気?

同じ腸の張りでも、糖尿病(糖尿病の神経障害による腸の蠕動運動の低下)や過敏性腸症候群(仕事や学校に行こうと思ったら急にお腹が痛くなるなどストレスに依って悪化する腹痛)の可能性もあり、原因はガスと異なります。

また、急にのたうち回るような腸の痛み(腸閉塞)など異常な状態を感じたら病院を受診するようにしましょう。

参考:ガスピタン(小林製薬サイト)

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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