胆石?!背中に鈍い痛みを感じたら

胆石:肝臓から出される胆汁(たんじゅう)が固まって胆石となり、するどい痛みを起こします。

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胆石の元は消化液 

胆汁は脂肪の分解を助ける消化液です。脂っこい料理にはより多くの胆汁が分泌されます。つまり、宴会が続く年末年始にかけて、この症状は酷くなります

ただ、普通にしていれば胆石にはなりません。胆汁はさらさらっと十二指腸・小腸に流れて脂肪の分解を助けます。胆汁が胆石となる原因。それは、胆汁は水に溶けにくいコレステロールと肝臓で作られる胆汁酸で出来ているのですが、そのバランスが何かのキッカケで変わると、コレステロールが溶けきれずに胆石の核になります。これが砂状になり、まとまって石になります。

日本人の大半はこのコレステロール胆石が胆嚢に溜まった胆嚢結石です。無症状の方が多く、数パーセントの方が人間ドックで発見されてびっくりするパターンが多いようです。

肝臓と胆石

胆石の症状

胆嚢結石:胆嚢に石が溜まるのを胆嚢結石と呼びます。疝痛発作(せんつうほっさ)や腹痛などの症状は胆嚢結石の50%に起こるといわれていますが、あとは無症状です。「胆嚢の中に砂のようなものがあるかもね」程度なら経過観察となりますが、溜まっていたり収縮しにくかったり腹痛を繰り返したりする場合は、手術になります。

この手術は胆石だけをはぎ取る・・・という訳ではなく胆嚢自体を取り去ります。全身麻酔をして腹部に小さな穴を開けて行なう腹腔鏡を使った手術が大半です。腹腔鏡下手術は通常1時間ほどで、癒着などがあればもう少し伸びます。日帰りできる病院もありますが、来店されていた数名の患者さんは2~3日入院されていました。

胆管結石:胆管は1cm程度と細く石が出来ると詰まりやすい場所です。急性胆管炎を起こすと急な発熱と腹痛に襲われます。この場合は、内視鏡を使って石を取り出す「内視鏡的乳頭切開術」「内視鏡的乳頭バルーン拡張術」を行ないます。

胆管結石は胆嚢結石と違い、疝痛もありつつ血液検査でGOT(AST)・GPT(ALT)・γGPT・ビリルビンなどの数値が高くなります。ただ、胆嚢炎などでも上昇しますので、腹部の超音波検査で調べます。家庭で疝痛が起こって・・・ただ少し我慢していたら治ってしまった。そんな場合でも、発熱などが有ればかならず病院を受診しましょう。

胆嚢を摘出した場合

「胆嚢?無くても大丈夫だよ!」昔はそんなことも言われたようですが、やはり何らかのコトは起こります。多いのは胆嚢を摘出して「下痢をしやすくなった」という患者さん。食事後にお腹が張ったり、味の濃いものを食べると突然の下痢に襲われたり。「焼き鳥が食べれない・・・」という方もおられました。教えてGooでこんな質問がありました「胆嚢摘出後の下痢で困っています」。

胆石で経過観察になったら

胆石と診断されても、全員が手術を受ける必要があるわけではありません多くの方は経過観察になります。日常の養生法としては「高タンパク、高カロリー、刺激物」を避けて過度のアルコールで頑張りましょう。高タンパク、高カロリーとは、宴会の食事・・・を思い浮かべて下さい。ビールを飲みながら焼き鳥をつまむ。ダメですねぇ・・・ほんとに忘年会にこんなメニューが来たら嬉しいですが、せっせと胆石を育てています。 

胆石のときに使う西洋薬

コレステロールは胆汁中にミセルを形成して溶解していることが多いのですが、コレステロールが過剰に分泌された場合や体調を崩して胆嚢収縮能が低下した場合にはコレステロールが溶けきれなくなり徐々に凝集してコレステロール結石が出来ます。

コレステロール結石で小さい場合ですが、経過観察や薬物療法になることが多いです。胆石が溶ける*ことを期待して内服薬のウルソ(ウルソデオキシコール酸:UDCA)やケノデオキシコール酸が処方されます。

*コレステロールの不飽和化、腸管でのコレステロール吸収抑制作用、胆汁の分泌促進、胆汁中への遊離型コレステロールの分泌抑制など。UDCAは1日600mgを3回に分割して。ただ、コンプライアンスを検討して600mg就寝前1日1回投与をする場合もある。

胆石のときに使う漢方

ウルソは長期的に行なう療法で、半数ぐらいの方には効果があるらしいのですが、「まだお世話にならなくても・・・」「もう少し何とかしたい・・・」こんなときは、漢方も検討してください。もちろん、漢方はウルソとの併用も可能です。
胆石でよく使う漢方薬についてはこちらに記載しました。
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また、なんだかおもだるくなってきたなぁ・・・いやだなぁ・・・と思い始めたときに使う処方はこちらです。予防的な服用もお勧めしています。

胆石・胆嚢炎の潤勝散
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どちらにしても、体調を崩すと悪化しますので、しっかりと食生活・睡眠など生活習慣を節制することがポイントです。

 参考:今日の健康2012/07 病名漢方治療の実際 中医弁証 
   日経DI 2015.10

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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