牛黄清心丸、中国と日本とでは違います

「中国と日本とで使い方が違いますよ」という処方が牛黄清心丸。引退の年代になって漢方に興味をもたれた薬剤師さん、その方からこんな質問がありました。

[st-kaiwa5]中国で牛黄清心丸が売られていますが、日本のとは違うのですか?[/st-kaiwa5]

同じ牛黄清心丸でも中国と日本とでは処方内容が違います。中国の牛黄清心丸は、急な引きつけや高熱などの症状に使い熱を冷ますような生薬が中心です。例えば脳卒中・脳卒中後の後遺症、引きつけ、精神疾患、そうした脳に関連した症状や、強い動悸などに使われています。

中国の牛黄清心丸
清熱解毒、安神開竅
【痘疹世医新法】
牛黄、朱砂、黄連、黄芩、山梔子、鬱金
日本の牛黄清心丸 牛黄、シベット散、人参、桂皮、当帰、芍薬、川芎、防風、甘草、羚羊角
安宮牛黄丸【温病条辨】 牛黄、鬱金、犀角、黄芩、黄連、雄黄、山梔子、牛砂、竜脳、麝香、真珠

※安宮牛黄丸は現在使われていない。

日本の処方は少し違って、穏やかな処方に変わっています。補う生薬が多く含まれ、高熱だけでなく慢性的なだるさや頭が冴えない、そういった不調に使えるような処方、使い方も幅広い処方になっています。

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頭がぼーっとするときに

中高年になって、頭がぼーっとする、霧がかかったように晴れない、思考力が足りない、閉塞感がある。そういったときには日本の牛黄清心丸はいい処方だと感じます。

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日本の牛黄清心丸を使った症例:60代女性

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60代女性。頭がボーッとするということで家族に付き添われ来局。病院で点滴を受けるとちょっと元気になる。点滴の効果は一日ぐらいで元に戻る。点滴を受けると尿がよく出て夜は寝てられない。発熱はなし、食欲あり。持病は無いが、年齢と共にのぼせることも増えた。中肉よりもやや痩せた印象。顔はやや赤く、目がぼーっとしている(後略)

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体が火照りますか?とお聞きすると「手足も火照る」と手のひらはやや濃いピンクに感じます。

水分量はテレビの放送を見て気にしているようで「脱水症状にならないように」とちょくちょくとマイボトルを持って服用。「頭は朝起きたときからぼーっとする、集中できない」とのことでした。

漢方ではこうしたのぼせ、中高年ののぼせを「陰虚」または「虚熱」といった言葉で表現します。実際は発熱していないけれども冷却水が少なくなって熱の傾向を表している、と考えます。風邪などの発熱では急に温度が上がったり、クラクラとしんどくなりますが、この陰虚・虚熱の熱感は「サウナに入ったように」ぼーっとしてきます。高熱では無いのですよ。

使いやすいのは日本の牛黄清心丸で、身体を補う生薬も一緒に入っているため、使い続けて問題も出にくくなっています。牛黄清心丸といくつかの処方を組み合わせたところ、身体ののぼせが楽になって頭もしゃっきりとしてきた、と喜びのお電話をいただきました。

「集中できない」という会社の社長さんの場合には牛黄清心丸よりも霊黄参などのほうが良かったりします。

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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