滋腎通耳湯:耳鳴りの漢方薬

耳鳴り、聴力低下など耳の症状や、そこから発生する目眩(めまい)は、西洋医学的に難しい症状です。

耳鳴りの相談で「今まで、どんなものを服用されてきましたか?」とお聞きすると、『これでしょ(病院の処方)、蜂の子でしょ、クロレラでしょ・・・』とカバンから色々なアイテムが出てきます。

目次

滋腎通耳湯とは?

耳鳴りの処方としてベースによく使っているのですが「滋腎通耳湯」という処方があります。効能効果を見てみると、

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体力虚弱なものの次の諸症:耳鳴り、聴力低下、めまい
滋腎通耳湯 エキス錠N「コタロー」

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ずばりそのまま耳鳴り。よく効きそうですよね!けれども「すべての耳鳴りに効きますか」というとそうでもありません。漢方はあくまでも体質を見て考えます。

この滋腎通耳湯に効果のある体質、は「体力虚弱なものの~」と書かれています。これは「最近運動不足だしな-」「疲れちゃってねぇ~」そんな体力低下の意味ではなくて、漢方での「腎虚」つまり、

  • 老化
  • 病気のあと(大きな病気)
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 性生活や生活習慣の不摂生

こうした弱りが続くことで「腎」の機能が低下し、耳を栄養(滋潤)することが出来なくなり、耳鳴り(耳の弱さ)が起こっている。腎を補うことで耳の機能を高めて耳鳴りを減らしてあげよう、そんな処方です。

不足しているものを補うのがメインですから、ピタッと止まるよりも、マシになるという表現が適切です。古くなったラジオがノイズを拾うように、耳鳴りは自然に起こる現象だからです。人間の部品(カラダ)は古くなっても取り替えるコトが出来ません。

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耳鳴りの漢方的な考え方は?

耳鳴りでのご相談はだいたいが中高年~が多いので、滋腎通耳湯をベースにして+αで処方をお勧めしているのですが、漢方としてはどういった処方を+αに使っているのか、考えてみたいと思います。ただ、ここに記載している以外の処方も使っています。

タイプ別 処方(例)
腎虚 八味地黄丸・滋腎通耳湯・六味丸・耳鳴丸
瘀血 冠元顆粒・血府逐瘀丸・桃核承気湯
桂枝茯苓丸
水滞 半夏白朮天麻湯・温胆湯・二陳湯
気虚・気逆 麦味参顆粒・柴胡加竜骨牡蛎湯・桂枝加竜骨牡蛎湯
黄連解毒湯・三黄瀉心湯・補中益気湯
陰虚 瀉火補腎丸・六味丸・天王補心丹
黄連阿膠湯
肝気失調 芎帰調血飲第一加減・釣藤散・七物降下湯
四逆散・柴胡疎肝湯・香蘇散・半夏厚朴湯
加味逍遙散

色々と書きましたけれども、ご相談の多いのが「①腎虚と瘀血」「②腎虚と肝気失調」「③腎虚と水滞」「④腎虚と気虚」あと腎虚がなくて「⑤肝気鬱結」のタイプだと思います。

①のタイプは多くて、血行循環も悪く、例えば肩こり(肩を回すと楽になる)・耳の周りをマッサージすると耳鳴りがマシ、運動不足、動脈硬化、など、西洋的に言えば内耳の迷走動脈、漢方的には全体の瘀血の改善を考えています。

②のタイプはストレスを受けると耳鳴りが酷くなる、嫁姑大戦争、定年での夫婦の諍いで悪化したり更年期のトラブルもあります。

③のタイプは耳鳴り+眩暈も起こるタイプで、④のタイプはつかれると耳鳴りが酷くなるという方ですね。

⑤のタイプはイライラすると耳鳴りが起こる、酷くなる。年齢層としては30~50代で仕事をばりばりしているようなタイプが多いです。滋腎通耳湯を使うよりも熱を下げるような処方、ストレスを改善する処方で良く効きます。

これ以外に血虚水滞の処方である当帰芍薬散について相談を受けたことがあるのでこちらにメモ。

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と書くと体質毎に様々です(^-^;;;

耳鳴りの処方、滋腎通耳湯

ベースとしている処方、滋腎通耳湯の紹介です。

滋腎通耳湯(じじんつうじとう)は、処方を詳しく見ると、四物湯(当帰・地黄・川芎・芍薬)に疎肝解鬱清熱(柴胡・黄芩)、香附子・白芷・知母・黄柏が含まれています。この柴胡・芍薬、香附子・白芷を含むため、ストレス性の耳鳴り・目眩にも効果があります。より「腎」を補うために六味地黄丸、海馬補腎丸などと併用することもあります。その他、滋腎通耳湯に小柴胡湯を加減したり、婦宝当帰膠を加減したり、することでより状態が良くなります

耳鳴りの処方として、磁石(じせき)を含む耳鳴丸(じめいがん:イスクラ産業)という処方もあります。

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なぜ耳鳴りは改善しないのでしょうか?大きな原因として「老化」が必ず関与しています。
※若年性の突然の難聴はまず病院で受診してください。

漢方では、耳の異常・聴力低下を「腎」の衰え、と考えます。腎とは「生命の源」、船でいえば「タービン」に当たる部分です。耳は無線機ですね。

タービンが老化して、電圧が安定しない。すると無線機は聞こえたり、聞こえなかったり。それに、電圧が安定しないことで、暖房も動いたりとまったり。夜とかすごく冷えたりします。排気排水がうまく行かずに湿気もおおいなー。と、全身に症状が出てきます。

老化だけでなく、「睡眠不足、ストレス」によっても「腎」が低下し、耳鳴り、目眩などを起こします

例えば、

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嫁姑の仲が悪く、何かの喧嘩をしたときから耳鳴りが出てきた。
仕事が忙しかったんだけど、ふっと気がついたら耳鳴りが発生していた。

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そんな訴えもあります。腎を補うことで、老化を防ぎ、耳鳴りなどの異常を改善します。

症例はこちらに書いてます

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商品名  滋腎通耳湯じじんつうじとうエキス細粒G 「コタロー」 90包
ジャンル 第二類医薬品
内容量  体力虚弱なものの次の諸症:
耳鳴り、聴力低下、めまい
内容量  2.0gX90包 (約1ヶ月分)
商品単価 10500円(税抜)
ポイント  耳鳴り、聴力低下、めまい
販売元 小太郎漢方製薬
摂取方法など 大人(15才以上)1包、1日3回
食前または食間に服用してください。
7~14才 1回2/3包、1日3回
4~6才 1回1/2包、1日3回
2~3才 1回1/3包、1日3回
2才未満 1/4包、1日3回
滋腎通耳湯に錠剤タイプが出ました。[←取寄商品]
滋腎通耳湯エキス錠N:315錠 4800円(税抜)

顆粒が細かい製剤なので、ご高齢の方も入れ歯などに詰まらず、服用できます。

[expand title=”添付文書はこちらをクリック”]

小太郎製薬のホームページにある商品添付文書PDFにリンクしています。

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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