胃食道逆流症とは?

胃食道逆流症(GERD)とは?

長期化する咳、胸やけ、呑酸どんさんなどで最近注目されるようになってきた胃食道逆流症という症状があります。GERDは日本人には少ない疾患でしたが、近年増加傾向にあります。

 

逆流性食道炎のような症状があるにもかかわらず、食道粘膜にはびらんや潰瘍がない症状を幅広く総称します。 

呑酸
喉に胃液が上がってくるような感じ、口に酸っぱい感じなどがある

 特に「胸がチリチリ焼けるような感じ」「長期化する咳」には困っている方は多いようです。

 

胃食道逆流症の原因

 

下部食道括約部(かつやくぶ)圧の低下によって、胃酸を主体とした胃の内容物が食道に逆流することによって生じます。胃や食道の運動機能が低下している場合が多く、食道が胃酸にさらされる時間が長くなり、粘膜障害を受けると考えられています。
オリンパス おなかの健康ドットコム:食道 胃食道逆流症

またこういった原因により、長期間の慢性咳嗽(長く続く、原因のわからない咳)が起きることがあります。

胃酸などの逆流液が下部食道粘膜を刺激する、逆流した胃酸のうちの微量が誤嚥されて気管や気管支を刺激するなどの説があります。

 

2008年3月24日追記

皇后様もGERDと診断されたとのこと。皇后様のように着物などで腹部を圧迫することでも起こる可能性がありますし、前屈みの姿勢が多い、排便などでいきむことが多い、ストレスが強い、コーヒーなどの刺激物を取っているなどの生活習慣からGERDが起こる原因になります。

 

また、食べ過ぎや食後すぐに横になるといったことでも、悪化します。

皇后さまはここ2、3年、夜などに胸や背中に鈍痛を訴えられていたほか、慢性の咳があったが、1月の内視鏡検査の結果、胃が食道の方にずれる「食道裂孔ヘルニア」との所見があり、近年の症状と総合して診断された。原因には、ストレスのほか、和服の帯による圧迫なども考えられるという。皇后さま、「胃食道逆流症」との診断(産経新聞) – Yahoo!ニュース

 

胃食道逆流症の治療(西洋薬)

お薬を服用して貰い「治ったらOK」という診断的治療という方法がとられます。

例えば、PPIやH2ブロッカー(胃酸を止めるお薬:タケプロンやガスターなど)はよく使われます。全体的に中止するとまた再発することが多いようです。

 

胃食道逆流症の治療(漢方薬)

東洋医学では、呃逆、胃痛、反胃などいわれます。

こうした胃の感覚の原因として、脾胃の昇降機能と肝の疎泄機能が崩れている場合が多く、胃腸を強くして、ストレスを軽減させるような処方を中心に検討していきます。

 

効能 漢方処方
疎肝理気、和中止痛など 加味逍遥散、開気丸、牛黄清心丸、抑肝散、柴胡清肝湯など
益気健脾、理気和中 香砂六君子湯、安中散、平胃散など

 

 その他、サプリメント、ハーブティーとしては田七人参やシベリア霊芝などを使う場合もあります。

 2?3種類を併用しつつ、改善にあわせて加減します。
金額的には1ヶ月で1万5千円?2万5千円程度になります。

 

 参考文献:2006/09 No107 日経ドラッグインフォメーション 基礎から学ぶ中医弁証論治:東洋学術出版

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この記事を書いた人

漢方を専門に学ぶ薬剤師。大学卒業後、東京・高知の漢方薬局にて漢方を研鑽。漢方薬局の二代目として大阪に戻る。このサイトでは、身近な漢方であるようにと「分かりやすい言葉」で説明するように心がけています。

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